グーグルの未来都市構想、「実験台になりたくない」現地で上がるプラバシーへの懸念
熱せられた街路は積もった氷雪を融かす。センサーが車の往来を監視し、歩行者を守る。無人のシャトルが人々を家まで運ぶ。
グーグルの親会社であるアルファベット傘下のサイドウォーク・ラボは、トロントの海岸沿いにある荒れ果てた地域を、歴史上最も高度にデジタル技術を駆使したコミュニティへと変貌させようと提唱している――それは、全く新しい、洗練された都市生活のあるべき姿だ。
サイドウォーク・ラボは、トロント・ウォーターフロントとして知られる政府機関と提携し、中層アパート、オフィス、店舗および学校を4.9ヘクタールの区域に建築する計画を立てた。これは同社が最終的に目指す325ヘクタールの広大な開発に向けた、初めの一歩となる。
この開発に対し、上層部の構想は明白だ。昨年10月、ジャスティン・トルドー首相と当時のアルファベットの会長、エリック・シュミット氏が一緒に登壇し、この計画を発表した。
しかし、一部のカナダの人々は、信号機から街路の舗装に至るまで、すべてのものをネットワークでつなぐ手段をグーグルに与えることにより、プライバシーにどんな影響がもたらされるのかについて考え直そうとしている。さらに、カナダ最大の街が都市実験の舞台となるのであれば、そこで開発される製品が生み出す利益を国民にお裾分けしてほしいと考える人々もいる。