新アップルウォッチ、医療機器へと近づく 心電図計測や転倒検出機能

AP Photo / Marcio Jose Sanchez

 アップルは、マニアックなガジェットであったアップルウォッチを徐々に医療機器へと進化させ、健康改善のためのライフラインへと転換しようとしている。

 9月後半からの販売開始が予定されている第4世代のアップルウォッチ・シリーズ4には、新機能として高精度の心拍センサーと転倒検出機能が搭載されている。これはアップルが長年かけて築いた戦略であり、すでにスマートフォンに備わっている機能を主に持つ腕時計型ガジェットを購入しようと消費者に思わせるものである。

 2015年4月にアップルウォッチが発売されて以降、多くの消費者は購入の動機を把握できずにいた。アップルは売上台数を公表していないが、アナリスト2名による推計では、2017年の出荷台数はおよそ1,800万台だという。同じ年のiPhone販売台数は、ほぼ12倍の2億1,600万台である。

                                                                                                                 

 米調査会社ガートナーによると、2018年における世界のスマートフォン販売台数は約19億台だと予測される一方で、スマートウォッチの販売予測台数は約4,800万台である。

 アップルのCEO、ティム・クック氏は、スマートウォッチの健康管理とフィットネス追跡機能の性能に対し、長い間注力を続けてきた。初代モデルには心拍センサーが搭載され、フィットネス・ワークアウト用アプリケーションに計測データが入力されていた。これにより、ユーザーは目標を見直し、達成時にはデジタル「報奨」を受け取ることができた。

 2016年、アップルは「健康的な毎日のための究極のデバイス」を発表。そのアップルウォッチは、水泳のための耐水性能や、ランニングやサイクリングのトラッキングを行う内蔵型GPSの機能を新搭載したモデルである。2018年2月には、スキーやスノーボードによる滑走についてもスピードや標高差のデータを含め、トラッキングが可能になったと発表した。

 9月12日に公開された最新モデルでは、健康管理のレベルがさらに上の領域にまで高められている。具体的には、心電図計測機能が内蔵されている。この機能については米国食品医薬品局(FDA)の認証を得ているとのことだ。アップルウォッチはまた、不整脈を監視し、そしてユーザーが転倒した際にはそれを検出することが可能であるという。

 心電図計測は心臓の健康にとって重要な検査であり、通常は病院での検診が必要である。アメリカ心臓協会の会長であり心臓専門医であるアイバー・ベンジャミン博士は、壇上でこの機能について「リアルタイムのデータは、医師による治療方法に変化をもたらすだろう」と推奨した。

 ガートナー社のアナリストであるトゥオン・グエン氏は、この機能によって、スマートウォッチが「人気や流行が理由で購入するもの」から「より実用的な目的で購入するもの」に変化するのではないか、と述べた。

 グエン氏はさらに、アップルウォッチの購入費用を補助するような医療保険制度が導入されることもあり得ると話す。初期費用にかかるデバイス代400ドルの負担は軽減されるが、併用必須のiPhoneは今や1,000ドル以上の価格である。

 アップルウォッチは背面と文字盤に新型センサーが起用されている。計測結果が正常な心拍を示しているか、発作や心不全など合併症のリスクを増大させるような心房細動の兆候はないか、新しいアプリケーションによって示されることになる。

 アップルによると、記録された心拍データはPDFファイルで医師と共有することが可能だ。ただし、患者からとめどなく送られてくる心電図データを受信する医療サイドの準備はどの程度整っているのか、また、医師たちにとって電子ファイルがどれほど利便的なのか否か、未だ明確にされていない。

 米スクリプス・トランスレーショナル研究所の所長であり心臓専門医であるエリック・トポル博士は、心電図計測機能によって不要な検査が多く行われるようになりかねないと警鐘を鳴らす。そしてその結果、不要な抗凝血剤の処方や治療の必要がないと思われる患者たちへの対応で、医師たちに多大な負担がかかることを危惧している。

 この機能によって救われる命があり、心臓疾患の早期発見により発作を予防することがある一方で、「恩恵と代償の比率については、依然として全く不明のままである」とトポル博士は述べた。

 アップルによると、心電図計測機能は、今年中にアメリカ内のユーザー向けに提供予定とのことだ。販売の目途がまだ立っていない可能性も示唆される。

 転倒検出機能もまた、特にシニア層のユーザーにとっては革新的なものだろう。新型アップルウォッチは、つまずいて転んだだけか、深刻な転倒なのか、その違いを認識することができる。後者の場合には、緊急通報の電話番号が表示され、発信が促される。1分間反応がないことが検知されると、自動的に緊急通報に電話発信され、そしてあらかじめ緊急連絡先に指定されていた友人や家族へメッセージが送信される。

 通話機能の付いたアップルウォッチに限定された機能ではあるが、それ以外のモデルであっても、ペアリングされたiPhoneが近くにあるか、Wi-Fiサービスが提供されている場合には緊急通報を発信することができる。

 アップルは、約2,500名によるモニターを行ったと述べる。そこでは、はしごから落下した時、階段を踏み外した時、また着替え中にズボンに足を取られた時の計測が行われた。その時のデータをもとに、実際の転倒と、拍手やくぎ打ちなどの手首の激しい運動とを分類した。

 この機能はたちまち全世界で利用可能となり、65歳以上のユーザーの心を自然に捉えるだろう。若年層ユーザーは設定により機能を有効化することができる。

「子どもたちが両親や祖父母に買ってあげている様子が目に浮かびます」と米調査会社ムーア・インサイト社代表のパトリック・ムーアヘッド氏は述べる。

 1点、ライバル社の腕時計型ガジェットに備えられていて、アップルウォッチには欠けている機能がある。睡眠の質を分析することである。新型アップルウォッチのバッテリー持続時間は18時間、つまり毎晩の充電が欠かせない。

By MICHAEL LIEDTKE, AP Technology Writer
Translated by Mana Ishizuki

Text by AP

Recommends