最新iPhoneのネット速度、サムスン製より低速 背後に係争中のモデム問題

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 アップルが昨年9月から11月にかけて発売したiPhoneの最新モデルで、インターネットのダウンロード速度が他社製スマートフォンより低速であることが問題になっている。対象となる通信はiPhone X、iPhone 8 Plus、iPhone 8を使用した4Gおよび3Gのダウンロード。国内販売価格10万円を超える高価なiPhone Xも影響を受けており、ユーザーに戸惑いが広がっている。

♦︎サムスンの4分の3の速度
 スピードテストを提供するOoklaによると、アメリカでのスピードテストを集計した結果、Galaxy S9と同S9+は平均で38.9〜38.4Mbpsのダウンロード速度となった。iPhone X、同8 Plus、同8は、29.7〜28.6Mbpsと、サムスン製のおよそ4分の3の速度しか出ていない計算になる。この結果は、各モデル10万回以上の実測値を集計したもの。サムスンはダウンロード速度がiPhoneより高速であると最近のCMでアピールしている。

                                                                                                                 

 もっとも、実際の体感速度はそれほど影響を受けるわけではない。ブルームバーグは、スマートフォンの動作にはダウンロード速度だけが影響するわけではなく、アップルのメイン・プロセッサーは、PDFの閲覧やゲームの起動などにおいて業界最速の部類であると評価。ただし、通信速度が遅いためビデオの画質が低画質に切り替わったり、ストリーミングの音楽再生の開始までに時間がかかったりすることは考えらえるという。

 速度低下は、インテル製通信チップを導入したことで発生した。ITメディアのCNETは、アップルは2011年のiPhone4S以来、これまで一貫してクアルコム製のハイエンド・チップを採用してきたと伝えている。しかし、アップルは近年になってインテル製チップの採用を進めるようになっていた。

♦︎高速の個体でも意図的に速度制限
 アップルがクアルコム製チップの採用を減らしている背景には、訴訟合戦がある。現在アップルは、特許とライセンス料の扱いをめぐりクアルコムと係争中。CNETによると、アップルは2017年、クアルコムが同社製チップの価格でなく、iPhone全体の価格に対してライセンス料を課しているとして同社を提訴した。クアルコム側は、同社製チップは通信に限らずiPhoneの機能を広く支えていると反論している。アップルとしてはインテル製チップの採用を促進し、係争中のクアルコムへの依存を減らしたい思惑だ。

 現在iPhoneにはインテル製とクアルコム製の通信チップを搭載したモデルが混在しているが、アップルは意図的にクアルコム製チップの動作速度を制限し、両モデルに差異が出ないように調整を行っている、とブルームバーグは報じる。このため速度低下は最新モデルの全ての個体で発生することとなり、高価なiPhoneに投資したユーザーにとっては失望となるだろう、と同メディアは述べている。

♦︎スピード問題は他にも
 人気のiPhoneだが、スピード面での課題は他にもある。スマートフォン関連の技術サイト『XDA Developers』が発表した充電速度のベンチマークによると、アップルが採用する充電技術は必ずしも高速ではない。ファーウェイが採用する方式「Super Charge」(Huawei Honor 10でテスト)と比較して、アップルのFast Charge(iPhone Xでテスト)は、容量あたりの充電速度が半分未満という結果になった。一般的にスマートフォンは満充電近くになると意図的に充電速度を落とす「トリクル充電」に切り替わるが、それを含めて0%から100%に充電されるまでの時間は、iPhoneの方が容量あたり倍かかる計算になる。

 また、昨年末には、古くなりバッテリーが消耗したiPhoneにおいて、意図的にプロセッサーの速度が制限されていたことが発覚。買い替えを促すための措置ではないかとしてアップルに批判が集中していた。ZD Netでは、電圧低下によるプロセッサーのシャットダウンを未然に防ぐための仕組みだというアップルの説明を伝えている。対応としてアップルは、2018年12月までの期間限定で、バッテリー交換費用を79ドルから29ドルに値引きする措置(日本国内では3200円)を発表。しかしZD Netは、依然としてユーザーが費用負担をする必要があると批判している。

Text by 青葉やまと

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