次なる『ポケモンGO』が生まれる日も近い? グーグルマップAPIが公開

Google Geo Developers Blog

 現実の地図を使ってゲームの世界を構築したAR(Augmented Reality:拡張現実)ゲーム「ポケモンGO」は、斬新なゲーム体験が人々を魅了したことで世界的成功を収めた。こうしたARゲームがまた流行するかも知れない。というのも、もっともメジャーな地図アプリ「グーグルマップ」がARゲーム開発に使えるようになったからだ。

◆グーグルマップがゲームの世界に変貌
 グーグルは3月14日、グーグルマップ開発者向けブログ記事において、グーグルマップがARゲーム開発に使えるようになったことを発表した。ゲーム開発者は、グーグルマップをファンタジーの世界やゾンビが跋扈する終末戦争後の世界に再構成することが簡単にできるようになったのだ。現実の地図をゲームの世界に作り変えるにあたっては、3Dゲームアプリ開発に際してゲーム開発者がよく使うゲームエンジンであるユニティを使用することになる。つまり、ユニティを使って現実の地図のうえにゲームの世界を演出する建物を作っていくのだ。

 ゲーム開発者は、グーグルマップに表示されている現実の建物、道路、ランドマークといったすべてのものをARゲームに登場させることも可能となっている。ちなみにグーグルマップには、200ヶ国以上の国にある1億以上の建造物が表示されている。

◆ポケモンGOの大成功をうけて
 テック系ニュースサイト『The Verge』は、ゲーム開発者が開発時に使うことになるグーグルマップAPIのプロダクト・マネージャーであるクレモンティーヌ・ジャコビー氏のコメントを紹介した記事を掲載した。同氏によると、およそ2年前から開発者からグーグルマップの地図データをスマホゲームに使えるようにして欲しいという要望が増えてきた、とのこと。2年前というのは、ちょうどポケモンGOが世界的成功を収めた時期と一致している。こうした要望を受ける形で、グーグルマップをARゲーム開発に使えるようにするプロジェクトを実行したのだった。

 同氏は、今回発表したプロジェクトの目標はゲーム開発者が現実の地図を上書きすることで詳細なゲームの世界を構築する手助けをすること、と述べている。また、同プロジェクトのリード・エンジニアのパトリック・ドニラン氏は「開発者は、現実の世界とつながっていると感じられるユニークなゲーム世界を創造することができるのです」とコメントしている。

◆すでにビックタイトルが開発中
 The Vergeの記事では、グーグルはすでにグーグルマップAPIを使ってARゲームを開発しているゲームスタジオと技術提携していることも報じている。こうした開発中のARゲームには「ジュラシックワールド・アライブ」「ウォーキング・デッド:アワ・ワールド」「ゴーストバスターズ・ワールド」といったヒットした映画やドラマをテーマとしたものがある。

 テック系ニューサイト『ベンチャー・ビート』は、以上のARゲームを開発しているゲームスタジオのCEOのコメントを紹介した記事を掲載した。「ジュラシックワールド・アライブ」を開発するルディアのCEOアレキサンダー・タベット氏は「ユニティに統合されたグーグルマップの地図データを使うことで、わたしたちは現実の世界でバーチャルな恐竜を探すというゲームユーザのバーチャルな体験を詳細に構築してくことに時間とエネルギーを集中させることができるようになりました」と言っている。

 また「ウォーキング・デッド:アワ・ワールド」を開発するネクスト・ゲームズのCEOティーム・ヒュータネン氏は「現実の世界で新しい建物や道路が建てられた時には、私たちはそれらにゲームの世界のなかでアクセスするのです。グーグルマップはほかに例を見ないほどの素晴らしい地図データなので、自由の女神、エッフェル塔、ロンドン・アイ、ブルジュ・ハリファ、インド門といった有名なランドマークや建物を含んでおり、そんな地図データを使って近所を探検することを息を飲むような体験に変えることができるのです」とコメントした。

Text by 吉本 幸記