ブラックベリー、フェイスブックを特許侵害で提訴 逆提訴の可能性も?

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 かつて世界を席巻したスマホを製造していたカナダのテック企業ブラックベリーが、メッセージアプリの特許を侵害しているとして、フェイスブックに対して訴訟を起こした。近年ブラックベリーは基幹業務をソフトウェア開発にシフトしているだけに、今後の訴訟の行方が注目される。

◆鮮明な対決姿勢
 ロイターによると、ブラックベリーは3月6日、フェイスブック傘下のワッツアップが提供するメッセージアプリ「ワッツアップ」とインスタグラムが提供するSNSアプリがブラックベリー・メッセンジャーの機能を模倣しているとして、同社に対し特許侵害訴訟を起こした。

                                                                                                                 

 ブラックベリーがロサンゼルスにある連邦裁判所に提出した訴訟文書には、「被告は、革新的なセキュリティとユーザインタフェース、そして諸々の特徴を強化した機能性というブラックベリーがなしえたイノベーションを流用することによって、メッセージアプリを作った」と記されている。また、同社のスポークスマンであるサラ・マッキンネー氏は「株主の利益と知的財産を守ることはすべてのCEOの仕事である」と電子メールで答えている。対して、フェイスブックの副法律顧問であるポール・グレワール氏は「ブラックベリーの訴訟は、悲しいことに現在のメッセージング・ビジネスの現状を反映している」「イノベーションへの努力を放棄して、ブラックベリーは今や他社のイノベーションを非難しようとしている」と述べ、法廷で争う姿勢だ。

◆予想される訴訟の行方
 テック系ニュースサイト『アルス・テクニカ』は、この訴訟の動向を予想する記事を掲載した。その記事は、最近の特許侵害に関する訴訟では被告に特許の使用を禁止するより、原告の大きな利益にはならない程度の損害賠償金を支払うことを命じる傾向にあることを指摘する。さらに近年のアメリカ法廷では、ソフトウェア特許の法的妥当性に関して懐疑的な見方が広がっていることを踏まえたうえで、フェイスブックの方がブラックベリーの特許が無効であると訴えるかも知れない、と述べている。

 同記事は、フェイスブックの反撃策として、同社が逆にブラックベリーを特許侵害で訴えることも予想できるとしている。この逆提訴の場合は、数年前に小さなビジネスに使われ始めたが、現在では重要なソフトウェアやサービスに使われている同社の特許が侵害されている、という訴えになると言う。

◆方向転換したブラックベリーの現状
 またテック系ニュースサイト『CNET』の記事は、近年のブラックベリーの動向をまとめている。周知のように、かつてブラックベリーはスマホ市場で大きなシェアを誇っていたが、近年は法人や政府を顧客としたソフトウェア開発にその基幹業務がシフトしている。そうした同社のソフトウェアには自動車の制御に使われる組み込みシステムであるQNXがあり、自律自動車を開発する企業やモバイル機器用の部品を製造しているクアルコムと技術提携している。その一方でブラックベリーの名を冠したスマホはまだ存在しており、中国の家電メーカーTCLが製造している。同社はTCLに協力する形でスマホのソフトウェア開発を続けているのが現状だ。

 ソフトウェア開発に転換したブラックベリーが、特許をめぐって他社を訴えたのはフェイスブックが初めてではない。同社は、無線通信機器メーカーのノキアに対しても特許を侵害しているとして訴えを起こしている最中だ。

Text by 吉本 幸記

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