次のパスワードが絵文字になるかもしれない理由
◆絵文字のパスコードを作る
スマートフォン利用者の大部分は普段、画面にロックをかけているため、1日に何度もそれを解除しなければならない。多くのユーザーが数字の暗証番号を使用しているが、数字や文字よりも画像のほうが覚えやすく、思い出しやすいという研究結果が出ている。また、暗証番号は0から9までの限られた符号で構成されている。パスワードを決める際には多くの数字を羅列させることができるが、それをスマートフォンで入力するのはなかなか大変だ。一方、絵文字を利用すれば2500種類以上から選ぶことができ、クラッキング対策やのぞき防止が容易になる。
最初の実験では、53名の被験者にAndroid端末を渡し、2つのグループに分けた。1つ目のグループにいる27名は、絵文字アイコンのライブラリからそれぞれ12文字選んで個別にパスコードを設定した(一度設定すると、ユーザーの絵文字キーボードはそのまま変化しない)。残りの26名は数字を使った暗証番号を設定した。
人が絵文字を選択する際、たいていの場合は3つのメソッドのうちの1つに則って選ぶものだ。それは、絵文字のキーボードの並び順に沿う(縦一列に並んでいるもの、または角に置かれた絵文字など)、個人的な好み、絵文字にストーリー性を持たせる、の3つだ。たとえば、ある被験者は頭の中で歌を思い浮かべ、その歌詞に対応する絵文字を選択した。新たに決めたパスワードを何度か試し打ちした後、対象者には一度帰宅してもらい、1週間後にまたテスト用スマートフォンにパスワードを再入力してもらった。
研究結果を見ると、暗証番号と絵文字の双方で記憶率は非常によかった。全体的に、暗証番号を使ったユーザーのほうが、わずかに覚えが良かった。ただ、これは多くの人が暗証番号を記憶するのに慣れているからかもしれない。一方で絵文字のパスコードを使用したユーザーは、コードを入力するのが楽しい、と報告している。