欧州でオオカミ増加、懸念高まる 保護基準見直しも
◆オオカミの保護レベル引き下げか?
度重なる被害に、各国の牧畜業者らは、それぞれ行政に対し抗議や要請の働きかけを行っている。保護種であるオオカミは、フランスやイタリア、スペインをはじめ大半の国で狩猟禁止とされており、駆除は容易ではないからだ。
牧畜業者らの苦境を前にし、欧州委員会も昨年9月、オオカミの保護基準を見直す検討に入り、その結果、12月にオオカミの保護レベルの引き下げを提案するに至った。これには、個体数が多すぎる地域ではオオカミ狩りを許可することなどが含まれている。ただし、1992年の「生息地指令」を変更するには、欧州の野生生物と自然環境の保護に関するベルン条約を、加盟50ヶ国の全会一致で修正する必要があるため、即日有効というわけにはいかない。(フランス・アンフォ)
家畜の保護やヒトの安全と、野生動物の保護の均衡を保つ模索は、まだまだ続きそうだ。