淡水魚の25%が絶滅危機 アトランティックサーモンは準絶滅危惧に
◆アトランティックサーモンが準絶滅危惧種に
カエルやサンショウウオなどの両生類は非常に深刻な影響を受け、約41%が脅威にさらされている。「両生類は、気温の上昇や干ばつといった危機的状況から身動きができず、気候変動の囚われの身になっているのです」とIUCNの種の保存委員会の副委員長であるビベック・メノン氏は述べた(AP)。
淡水と海水の両方に生息するアトランティックサーモンは2006年から2020年までの間に世界の個体数が23%減少し、最も絶滅の懸念の少ない種から「準絶滅危惧種」に指定された。
「気候変動はアトランティックサーモンのライフサイクルの全段階に影響を及ぼし、稚魚の発育に影響を与え、餌の入手可能性を減少させ、侵略的外来種の生息域の拡大を促している。また、ダムやその他の障害物がサーモンの産卵場や餌場へのアクセスを妨げ、伐採や農業による水質汚染や堆積が稚魚の死亡率の上昇につながっている」とIUCNは見解を示した。
このほか、家具や楽器、装飾品として商業的に人気のある植物「ビッグリーフ・マホガニー」が、絶滅危惧種に指定された。中南米地域での違法伐採などによって、その数は過去180年間で60%も減少している。
中央南太平洋と東太平洋のアオウミガメもまた、気候変動による大きな危険にさらされている。海の水位上昇によって巣が浸水し、孵化(ふか)するウミガメの個体数の減少に拍車をかけている。
さらに、ケニアの世界最大の砂漠湖トゥルカナ湖に生息する大歯強盗と呼ばれるコイ科の淡水魚も、危機に瀕している。IUCNは、乱獲、気候変動による生息環境の悪化、ダム建設による湖への流入水量の減少を理由に、危険度を2段引き上げて「絶滅危惧Ⅱ類(危急)」に指定した。
IUCN淡水魚専門家グループの共同議長であるキャシー・ヒューズ氏によれば、世界で知られている魚種の半数以上が淡水に生息しており、淡水魚は生態系にとって欠かせない。
「淡水魚種は生態系にとどまらず、淡水の生態系に依存する何十億もの人々、その漁業に依存する何百万もの人々にとっても、不可欠なものなのです。淡水の生態系の適切な管理を確実なものにし、十分な水の流れと良好な水質を維持することが、気候変動にレジリエンスのある世界において、種の減少を阻止し、食料安全保障、生活、経済を維持するうえで非常に重要なのです」とヒューズ氏は語る。
世界自然保護基金(WWF)の2021年公表のデータによると、世界では少なくとも2億人が淡水魚を主なタンパク源としている。
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