淡水魚の25%が絶滅危機 アトランティックサーモンは準絶滅危惧に

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 気候変動による環境の変化や、開発、乱獲、外来種の持ち込みなどの影響で、動植物の種が急激に減少している。12月に開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で、最新の生物絶滅危惧種リストが公表された。日本人になじみのあるあの魚も「準絶滅危惧」に評価された。

◆レッドリストの絶滅危惧種 7000種増加
 気候変動は地球の生物多様性の危機を悪化させ、何千もの種にとってより致命的な環境を作り出し、地球上の動植物の数の急激な減少を加速させている――種の健全性を追跡する国際機関「国際自然保護連合(IUCN)」は11日、アラブ首長国連邦(UAE)で開催されたCOP28で、最新の「生物絶滅危惧種リスト(レッドリスト)」を公表した。

 最新のレッドリストでは、昨年より約7000種多い15万7190種の生物を評価。そのうちの4万4016種が絶滅の危機に瀕しており、その数は昨年より約2000種増加した。

 レッドリストには今回初めて淡水魚種に関する広範な評価が盛り込まれた。IUCNによると、世界の淡水魚の25%にあたる3086種が絶滅の危機にあるという。また、絶滅危機に瀕している淡水魚種の少なくとも17%は、干ばつに伴う河川の水位低下、水温の変化、海面上昇による海水の河川への遡上といった気候変動の影響を受け、57%が汚染の影響を受けている。乱獲、外来種、病気、ダム、取水も絶滅危機を引き起こす要因になっている。

Text by 中沢弘子