性別欄「X」の旅券、メキシコ発行 「逆に差別生む」と性的少数者から批判も
メキシコ政府が5月、ノンバイナリーを表す「X」のジェンダーカテゴリーを選ぶことができるパスポートの導入を開始。世界16ヶ国がすでに導入済みだ。一見、革新的な取り組みのようだがパスポートが持つ、本質的な課題も見え隠れする。
◆メキシコ政府のノンバイナリーパスポートとは
ノンバイナリー(nonbinary)とは、男性、女性といった二者択一的(バイナリー)なジェンダーカテゴリーでは定義できないジェンダーアイデンティティを持つ人たちを表すための単語として使われてきた。男性(male)、女性(female)に加えた第三の性別として、Xジェンダー(X)という表現をされる場合もある。
メキシコ政府は、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日である5月17日を記念し、初めてのノンバイナリーパスポートを発行した。政府がよりインクルーシブなサービスを提供するという意味において、画期的な取り組みである。
一方で、LGBTQ+の活動家からは批判の声も上がっている。批判の一つは、パスポートに記載されるのは生物学的な性(sex)であり、ジェンダーではないということ。そこにX というジェンダーが追加されることで、性とジェンダーの境が曖昧になって混乱を招き、さらなる差別を生む可能性もあると指摘する。また、今回のパスポートの表記変更にあたって、ノンバイナリーの人々との対話があったのかどうかという点も不明で、ノンバイナリーを表すNBの表記の方が相応しいとの意見もある。人々が自認するジェンダーと、生物学的な性が必ずしも一致するわけではないからだ。
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