仏、鉄道で2時間半で行けるフライト禁止 欧州で短距離禁止の動き

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◆航空便全体の排出量の0.3%で効果に疑問
 同法に反対する批評家の間では、旅客は以前よりこの3路線から短時間で移動できる高速列車へと流れていたため、気候変動問題に対して実質的な内容を伴わない単なる口先だけの取り組みだとする声が上がっている。エールフランス航空のパイロット組合の前副代表ギョーム・シュミット氏はツイッターの投稿で、「すでに搭乗客によるこの路線の利用離れが起きている。誰もこの法律にはだまされない」と発言した。欧州の環境保護団体「運輸と環境(T&E)」航空業界担当役員ジョー・ダーデン氏は「フランスの運航禁止は象徴的な動きだが、排出量を減らす効果はほとんどないだろう」と語った。(CNN)

 T&Eの推計によると、3路線は、フランス本土を出発する航空便全体の排出量の0.3%を占めるに過ぎない。

 これに対し、ボーヌ運輸相は「同法は3年間施行される。将来的には少なくとも3時間の移動へと拡大することで、より厳しい取り組みができる」と強気の姿勢を示した。

◆ほかの欧州諸国もフランスに追従
 フランスの動きはほかの欧州諸国へと波及している。スペインは2021年、2050年までにフランスと同様に短距離運航禁止を成立させる計画を提出した。つまり、マドリードからの国内便がすべて廃止になることを意味する。

 ドイツも近年、短距離航空機による移動に対し不利な条件を課し、減便の方向へと動いている。2020年には、国内線と欧州域内の運航便にかかる税金を75%増額した。

 ベルギーも同様に、ブリュッセル空港から500キロ未満の短距離便に10ユーロの税金を導入している。また、ベルギーのジョルジュ・ジルキネ副首相兼モビリティ相はEUに対し、フランスに追従し、EU内の鉄道網と夜間列車を条件としてEU全体の基準にすべきだと呼びかけている(英i紙)。

Text by 中沢弘子