動物にもやさしい、次世代のオーガニック花火「スパーク」 オランダのアーティスト考案
日本の花火大会のように、海外でも祝祭などで大々的に花火が打ち上げられる。個人で花火を楽しむ人も多い。美しく迫力に満ちた花火は祝賀気分を盛り上げてくれるとはいえ、大気を汚染し、火災につながる恐れがあり、呼吸器系の健康被害をもたらす可能性もある。
そういった問題を考慮し、最近は花火に見立てたドローンのライトショーが各地で開催されている。ほかにもオルタナティブな花火はある。オランダで誕生した生分解性の花火は空から本物の花火が降ってくるかのようで、ドローンショーより幻想的な雰囲気に浸れる。
◆オランダ人アーティストによる「生分解性の花火」
屋外で、色とりどりの光のシャワーを浴びている気持ちにさせてくれるのは、オーガニックな花火「スパーク」だ。蛍や夜光虫(海洋性のプランクトン)、鳥の群れ、そして銀河にインスパイアされて作った何千もの光の粒は50メートルの高さまで上がり、風に揺れて輝く。音はない。
生分解性材料で作られており、花火のごみを出さない(素材の詳細については非公開だが、各粒にはライトが2つ付いている)。天候次第で送風機を使う。花火ショーの時間は調整できる。
スパークの初公開は昨年6月。スペイン・ビルバオで開催された「社会変革のためのウェルビーイング・サミット」においてだった。その後、南フランス、マドリード、ロンドンで披露され、今年3月下旬には、ニュージーランドの「オークランド・アート・フェスティバル」に登場し、2万人が鑑賞した。6月には、オーストラリア・メルボルンの芸術の祭典「ライジング」にも出展する。
スパークは2022年、オランダ独創力賞の空間デザイン部門でブロンズランプを受賞し、ヨーロッパのインターネット関連の創作品を評価するラヴィ・アワーズのビデオ部門の「科学・教育・健康」カテゴリーで銀賞を獲得(別部門でも同時受賞)した。シンプルでありながら魔法を使ったような優れたデザインと、環境面で社会に影響を与える可能性を秘めている点が評価された。
この花火を考案したのはアーティストのダーン・ローズガールデ氏。オランダにスタジオ・ローズガールデを構え、都市環境保全を基本コンセプトにし、ライトを使ったさまざまなアート作品を手がけている。ローズガールデ氏は「何か問題があるとき、それは人間が考えたデザインが良くなかっただけだ」と言う(オランダ独創力賞のコメントより)。花火の不思議さや花火が人々に与える驚きを損なわずに環境に配慮した方法を提案し、広めたいと考えたのだった。
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