カーボンクレジット付きNFTアートが登場 ケニアで草原回復 課金でアート進化も
デジタル上に存在しているNFT(非代替性トークン)アートが、アート界で急速に広がっている。老舗のオークションハウスがNFTアートを販売したり、世界の著名な美術館が名画をNFT化して販売しており、NFT作品を販売するアーティストも増えている。昨夏は東京・渋谷にNFTアートをリアルな世界で常設展示するギャラリー「NOX」が、日本で初めてオープンした。NFTアートは実績のないアーティストによるものが多く、まだ投機的な側面があるとの指摘もあるが、まだまだ発展しそうだ。
そのようななか、NFTアートを購入すると同時に、売り上げを寄付して環境保全に役立てるというユニークなプロジェクトもちらほら現れている。日本では、キュートさを強調した「チビロリータプロジェクト」(FLOWERLOLITAの一部)が好調だ。国外では、ゲームのNFTキャラクターだが、やはり目が大きくて可愛らしいヒーローが販売されている。一方、2月下旬に発売された環境系NFTアート「エコサピエンス」は、そういった可愛らしい雰囲気ではなく、優雅で力強い作風だ。
◆植物や菌類が生えて発達するNFT
エコサピエンス・コレクションはAIを使ったアートだ。人間の姿の「エコサピエン」をはじめ、ゾウと人間を合わせた「エレサピエン」、カメレオン姿の「カメレオサピエン」、ハエ姿の「フライサピエン」など12種類の販売を予定している。動物や昆虫と人間を合わせたこの生き物は、それぞれ特殊なパワーを持っている。たとえばエレサピエンは、ノコギリ状の鼻の先で二酸化炭素(CO2)をキャッチし、たとえ硬い土であってもそのCO2を土中に埋めたり、避雷針の機能を備えていて温暖化の影響で増加している落雷の被害を防ぐことができる。みな、体に植物や菌類が生息していることも特徴で、毛、耳、角も成長する。
今回の発売は人間の姿の「エコサピエン」のみ。エコサピエンは通常の木の100倍のCO2を吸収する木を体から生やし、吸収したCO2を結晶化する。エコサピエンは課金のたびに、成長した姿になる。最初はレベル0で、アミノ酸入りの液体が入ったバイオリアクターの「サナギ」の状態で、最後はレベル7の「大型植物」になる(レベルアップの間は、1つ下のレベルのエコサピエンは消滅し、新しいレベルのエコサピエンを受け取る)。
エコサピエンス・コレクションは同社CCOのアーティスト、ギャレット・ケーン氏がデザインした。ケーン氏は長年、BMWなどさまざまな企業でクリエイティブ・ディレクターとして経験を積んだ。
この美しいNFTアートは発売前から注目を浴びていた。昨年、モーションデザイン(静止画に動きをつけること)の情報を提供しているモーショングラファー社の「モーション・アワーズ賞」のNFT部門で受賞した。
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