「健康的な空気」は13ヶ国・地域のみ 2022年世界大気汚染レポート

パキスタンのラホール(2021年12月2日)|A M Syed / Shutterstock.com

 化石燃料の燃焼、森林火災などの影響で年々深刻化している大気汚染。大気汚染が誘発する呼吸器系疾患により、世界では毎年数百万人が死亡している。特に健康被害の原因とされるのが、大気中に浮遊する直径2.5ミクロン以下の微小粒子状物質「PM2.5」だ。世界各地でこの物質をモニターしているスイス企業が、最新の大気汚染状況を示すランキングを発表した。その結果とは……。

◆2022年度の大気汚染 非常に危険な水準を記録
 スイスの空気清浄機メーカーIQエアが13日に発表した2022年世界大気汚染報告書によると、世界131ヶ国と領域の大気質を調査した結果、健康に良好な大気質と判定されたのは、13ヶ国・領域しかなく、2022年度の大気汚染は非常に危険な水準に達したことがわかった。

 IQエアは、世界各地における呼吸器に影響を及ぼす微小粒子状物質(PM2.5)の空気中の濃度に基づいた空気質指数(AQI)を測定し、年間報告書として発表している。指数の基となるデータは、131ヶ国・領域・地域の7300ヶ所以上に設置した3万台以上の大気質モニターから収集されたもの。

 PM2.5は大気中に浮遊する極めて小さく最も危険な粒子で、吸い込むと肺の奥深くまで到達し、血液中に取り込まれる。発生源としては化石燃料の燃焼、砂嵐、森林火災などが挙げられ、ぜんそくや心臓病、呼吸器疾患といった健康被害との関連が指摘されている。毎年大気汚染を原因とする健康被害で数百万人が死亡している。

Text by 中沢弘子