なぜビルゲイツは牛のげっぷを減らすスタートアップに出資したのか?

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 牛のげっぷを減らすオーストラリアのスタートアップ「Rumin8」が23日、ビルゲイツが設立した投資会社から1200万ドルを調達したと発表した。その出資の背景、理由とは。

◆温室効果ガスとして無視できない牛のげっぷ
 地球規模の環境問題として地球温暖化がある。地球温暖化の原因に温室効果ガスがあるが、その代表的なものは二酸化炭素(CO2)である。しかし、それだけではない。牛のげっぷも温室効果ガスとして無視できない。

 牛のげっぷにはメタンガスが多く含まれる。牛は反芻(はんすう)動物に分類され、口に入れた植物を咀嚼(そしゃく)し胃へと運ぶが、再び口に戻して再度咀嚼する。4つの胃でこの反芻を長い時間をかけて行い、胃の中の微生物や酵素が消化に関わるため、食べた餌が発酵し、メタンガスが発生する。

 メタンは二酸化炭素の25倍もの温室効果があり、家畜由来のメタンは温室効果ガス排出量の3.7%も占める。体重600キロの牛1頭から1日で500から600リットルのメタンガスが放出されている。

◆牛のげっぷに課税
 温室効果ガスとして影響を無視できない牛のげっぷをなんとか解決しなければいけないという取り組みがある。ニュージーランド政府は昨年10月、牛のげっぷなどに課税する計画を発表した。

 国際競争力を有する第1次産品を主要産業とするニュージーランドだが、同国から排出される温室効果ガスのおよそ半分が牛のげっぷで占められているため、国として排出量を削減しなければならない。これは世界初となる試みで、計画では2025年から対象となる農家はなんらかの形で納税しなければならなくなる。

 まだ具体的な内容や課税額は未定だが、場合によっては、ニュージーランドの多くの農家が廃業へと追い込まれるのではないかと危惧されている。そのため、この課税に農家は猛反発。しかし、ジャシンダ・アーダーン首相は、徴収した税金は、農業の新技術の開発・研究などに活用し、農業界へと還元するとしている(BBC)。

Text by 齊田興哉