これまでの寿司は食べられなくなる? 海水温上昇で起きている異変

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 魚は日本料理には欠かせない食材だが、漁業資源の減少は深刻だ。乱獲だけではなく気候変動によって、これまで食べてきた魚が食べられなくなる日が迫っている。海外からは、日本が誇る寿司・刺身文化にも大きな影響を与えそうだという声も上がっている。

◆季節感変わった? 取れる魚に変化
 塩釜市の魚市場を取材した英オブザーバー紙は、この市場には豊富な食材が並んでいるが、日本食の先行きは気候変動によって厳しくなるという科学的証拠が増えていると述べる。塩釜の魚市場では地元の食材を組み合わせた海鮮丼が人気だというが、市場の露天商は、以前は夏場に売っていた魚を現在は秋冬に売っており、すでに季節は関係なくなっているようだと述べている。

 高知県では、漁師たちが2年前から過去にないほど太ったカツオが取れるようになったと話し、原因は海水温の変化ではないかとしている。実際に土佐湾の冬の水温は2015年までの40年間で2度上昇しているという。太ったカツオはお金にはなるものの、いつかカツオが湾に戻ってこなくなる日が来るのではないかと漁師たちは心配している。すでに地元特産の海産物で、取れなくなったものがいくつかあるということだ。(ロイター

Text by 山川 真智子