「ブルドッグを買わないで」英獣医が訴え 品種改良で健康リスクの高い体に
◆たるみの皮膚炎は38倍のリスク
同研究はイングリッシュ・ブルドッグについて、皮膚のひだに炎症を生じるリスクが他犬種の38倍、まぶた内側の組織が目の開口部に飛び出てしまう「チェリー・アイ」と呼ばれる症状を患うリスクが27倍など、他犬種よりも健康上の問題を抱えやすいとしている。頭蓋骨が短いことから、気道に異常を生じるリスクは19倍となる。ガーディアン紙はこのような動物福祉上の懸念から、すでにノルウェーやオランダなどの国では、イングリッシュ・ブルドッグをはじめとする一部犬種の繁殖を事実上禁止していると説明している。
イングリッシュ・ブルドッグはもともと、運動能力に優れる闘牛用の犬種として開発された。その後、ショー用途やペット用の人気が高まったことで、筋肉重視ではなく現在のようなルックスへと品種改良された歴史がある。英インデペンデント紙は、イギリスではここ10年ほどで人気が急上昇しており、「この犬種の物理的な特徴により深刻な健康問題を招きがちであるにもかかわらず、非常に高い人気が続いている」と指摘する。
◆健康的な体型へのシフトチェンジが求められる
論文著者らはこの状態を問題だと捉え、より健康的な構造への改良を訴えている。インデペンデント紙によると、研究者らは「この種の継続的な人気を考慮すれば、イングリッシュ・ブルドッグの典型的な体型を、物理的な特徴としてより普通に近い方向へ変えてゆくべきです」と述べる。こうすることで、イギリス国内で将来的に飼育が禁止される事態を避けられるとの提案だ。
論文著者のひとりであるダン・オニール博士はBBCに対し、「そのときまでは、オーナーとなる人たちは、平面顔(短頭種)の犬を買う前にじっくりとよく考えるべきです」と語る。愛らしい見た目の裏に、高い健康上の代償があるようだ。
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