アフリカにおけるグリーンボンドの可能性

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◆アフリカにおけるグリーンボンド市場
 ストックホルム・サステナブル・ファイナンス・センターが2020年に出版したレポートによると、アフリカにおいては2019年までに17件の総額20億ドルのグリーンボンドが発行された。

 アフリカ諸国において最もグリーンボンドを発行しているは南アフリカである。同レポートによると、2012年からのアフリカにおけるグリーンボンド発行総額の74%を南アフリカが占め、ナイジェリアは17%、モロッコは7%を占める。アフリカにおけるグリーンボンドのほとんどが金融機関および自治体によって発行されたものだというのも興味深い。

 ケニアにおいては2019年に国内初のグリーンボンドが発行された。ナイロビを拠点とする不動産開発業者エイコーン・ホールディングスは43億ケニアシリング(約46億円)の資金を学生向け住居に使う予定だ。

◆国際機関の支援と政府による投資環境の改善
 アフリカにおけるグリーンボンド市場の成長のためにはより多くの資金や知識が必要で、国際機関からの支援は重要だ。アフリカ開発銀行(African Development Bank:AfDB) は加盟国の開発ニーズに応える国際開発機関で、初のグリーンボンド を2013年10月に5億ドル発行した。そのほかにもIFCやIBRDなどの国際機関がアフリカのグリーンボンド市場において活動している。これらの国際機関はグリーンボンド投資家だけではなく、発行者、市場を開拓する支援者、さらには技術支援者としての役割を担っている。

Text by 中川沙和