アフリカにおけるグリーンボンドの可能性
気候変動対策や環境プロジェクトの資金を調達するために発行する債券「グリーンボンド」の市場が世界的に急拡大している。
国際NGOの気候債券イニシアチブ(CBI)によると、2007年に欧州投資銀行と世界銀行が世界初のグリーンボンドを発行して以来、世界での累計発行額は1兆ドルに到達した。さらに2003年から2020年のグリーンボンド市場の年間平均成長率は95%と目覚ましい成長を遂げている。
アフリカにおいてはいまだグリーンボンド市場は新しく、米シンクタンクのブルッキングス研究所によると世界市場の0.4%しか満たない。しかし、昨年のCOP26でもアフリカ諸国への気候変動適応と移行コストに関する支援の必要性、アフリカ諸国の金融市場がパリ協定の目標に同調する重要性などが挙げられた。アフリカ大陸における気候変動問題を解決する投資手段としてグリーンボンドの可能性が期待される。
◆アフリカにおける気候変動問題の深刻化
環境NPOの世界資源研究所(WRI)が出版するデータによると、サブサハラアフリカにおける温室効果ガスの排出量は2018年時点で全世界の7.6%と低い。しかしアフリカ大陸は世界で最も気候変動による影響が大きいと指摘されている。すでにアフリカにおいては気温上昇、海面上昇の進行、それから洪水や土砂崩れ、干ばつなどの異常気象現象が悪影響を及ぼしていることが世界気象機関(WMO)のレポートにより明らかになっている。
COP26の前に出版された世界銀行のレポートによると、アフリカでは気候変動により2050年までに8600万人が国内での移住を余儀なくされるという。また国連は、アフリカにおいて必要な技術の入手が限定的あることや、降雨に依存した農業、貧困率が高いことなどが気候変動対応を困難にしていると指摘している。