「6回目の大量絶滅が始まった」生物学者が警告「今回は人間が原因」
地球には長い歴史のなかで、これまでに5度の大量絶滅期が訪れてきた。いずれも自然現象が引き金となっていたが、現在はすでに6度目の絶滅期に入っており、史上初めて人間の活動が原因となっているとの研究が発表された。知見の鍵となったのは、ナメクジなど無脊椎動物に関するデータだ。
◆生物種の最大13%が絶滅との推定
地球が新たな絶滅期に入ったとの研究結果を発表したのは、ハワイ大学マノア校・太平洋生物化学研究所のロバート・カーウィ研究教授らのチームだ。フランスの国立自然歴史博物館と共同で評価に当たった。通常、絶滅の危機を示す指標としては、国際自然保護連合(IUCN)が発表するレッドリストが用いられる。カーウィ教授らはこの現状に欠陥があることに着目した。IUCNのレッドリストは鳥類と哺乳類についてはほぼすべてを評価対象としているのに対し、無脊椎動物はごく一部しか掲載されていない。論文のなかで教授は「このレッドリストは大きく偏向している」と指摘している。
そこで教授らは、鳥類などを基準としていた評価方法を改めることにした。代わりに無脊椎動物の絶滅数を指標として全生物種の絶滅数を推定し、統計がどのように変化するかを確かめた。無脊椎動物のなかでも2番目に既知の種の数が多い軟体動物の部門では、西暦1500年以降に概算で7.5〜13%が絶滅している。この割合を既知の全生物種の数である約200万種に当てはめ、全生物の絶滅数を推定すると、15万〜26万種が地球上から失われたという計算になる。レッドリスト上の数字は0.04%(882種)となっているが、これをはるかに上回る数字だ。
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