大気中のCO2を回収して石に 世界最大プラントがアイスランドで稼働開始

Climeworks

 最近は10年という長期契約を結ぶ企業もある。12月には、リヒテンシュタインに本拠を置く世界最大規模のプライベートバンクグループLGT銀行も、出張時など、どうしても避けられないCO2排出の一部をオフセットするため、クライムワークス社との10年間の契約締結を発表した。これにより、同社はLGTのために、10年間で9千トンのCO2を大気から除去することになる。

 クライムワークス社は、個人のオフセット希望者も積極的に受け付けている。3つコースがあり、毎月45㎏(約6200円)、毎月75㎏(約1万300円)、毎月150㎏(約2万700円)のCO2を除去してもらえるほか、CO2の除去量と価格を自分で選ぶこともできる。解約はいつでも可能だ。目下、56ヶ国に住む人たちがオフセット契約を結んでいる。

◆次の大規模DAC計画も進行中
 クライムワークス社は今後もDACの建設を進める。次はオルカをさらに大きくして、年間40万トンのCO2を回収する能力を持つプラントにするという。昨年9月に同社が主催した国際会議のDACサミットにおいて、同社CEOが本計画にすでに取り組んでいることを発表した。

 アメリカでは、カーボン・エンジニアリング社とオクシデンタル・ペトロリウム社が共同で、毎年最大100万トンのCO2を回収する巨大なDACプラントを開発中だ。このプラントは、早ければ2024年に稼働するという。

 DACだけではもちろん気候変動は食い止められない。だが、以前は非現実的だと思われていたDACが普及への大きな一歩を確実に踏み出している。

【関連記事】
二酸化炭素を削減するには?「親炭素術」の回収・貯留・利用
CO2排出ゼロ、水から水に戻る「水素エネルギー」「人工光合成」は夢ではない
世界に広がる「宮脇方式」のミニ森林 気候変動に緑化で貢献

Text by 岩澤 里美