世界に広がる「宮脇方式」のミニ森林 気候変動に緑化で貢献

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 地球温暖化や気候変動が世界の大きな懸念となっているなか、生態系の維持がこれまで以上に重要になっている。都市の空き地や隙間スペースを利用した緑化のニーズが高まり、日本の生態学者、宮脇昭氏の「宮脇方式」を採用した植林が世界に広がっている。

◆多種類混植 10倍速で成長する森
 宮脇方式の森は、都市部、自宅の庭など小さなスペースで作ることができ、在来種や地元で利用できる種子や苗木を利用するのが一般的だという。都会の雑然とした景観を変えるには理想的だ。

 作業としては、まず土深く有機物を混ぜ込んだ土地に、高さの異なる木を30種以上、1平方メートル当たり3種程度植える。植えた後は断熱のためマルチング(表面を紙やプラスチックで覆うこと)を行う。2年間は水やりが必要だが、それ以降はほとんどメンテナンス不要だという。低木樹から高木樹まで、多層の森を作ることで垂直方向の空間全体を緑で埋めることができる。(カナダ地方紙、リッチモンド・ニュース

 宮脇方式は自然林の再生を目指しており、従来のやり方で植えた森より10倍速く育ち、30倍密になり、生物多様性も100倍になるという。自然の森は単一種の植林地に比べ40倍もの炭素を蓄えることができると推定され、気候変動の目標を達成するためには、自然林の再生がカギになると科学者たちは指摘する。森林が自力で回復するには70年以上かかるとされているが、宮脇方式の森ははるかに短い時間で土地を再生するため、大きく注目されている。(ガーディアン紙

Text by 山川 真智子