国連、世界23ヶ所での飢餓の急増を警告 新型コロナも要因に

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 国連食糧農業機関(FAO)と世界食糧計画(WFP)は7月30日、世界23ヶ所の「飢餓ホットスポット」を発表した。エチオピアの紛争地帯であるティグレ地域、マダガスカル南部、イエメン、南スーダン、ナイジェリア北部などが含まれており、これらの地域はすでに深刻な状況にある食糧不安がさらに悪化する可能性が高い上、今後3ヶ月で破滅的な状況に直面するリスクがもっとも高いとの警告が出ている。

 なかでもエチオピアはリストの最上位に位置付けられており、今後すみやかに人道援助がもたらされない場合、飢餓と死の危険に直面する人々の数は40万1000人に達すると予測されている。この数字は、2011年に発生したソマリアでの飢餓以降、飢餓の被災者数としては最大となる。

 またFAOとWFPは、過去40年で最悪の干ばつに見舞われているマダガスカル南部に関して、主食作物に被害を与える害虫の発生と食糧価格の上昇もあいまって、今年9月までに1万4000人が飢餓と死のリスクに直面する破滅的な食料不安にみまわれると予想している。そこでの被災者数は年末までにはさらに倍増し、2万8000人が緊急支援を必要とするだろうとの予測だ。

 今年5月に発表された報告書のなかでは、FAOやWFPなど合わせて16の組織が、昨年2020年に深刻な飢餓に直面した世界の人口は少なくとも1億5500万人にのぼると伝えている。そのうち、餓死を防ぐための緊急食糧支援を必要とした人口は13万3000人で、2019年と比べ2000万人増加した。

 深刻な飢餓についてはそのスケールだけでなく深刻度も増しており、全体として生命と生計を支える援助をただちに受けられない場合に、飢餓または飢餓的状況に陥るリスクにさらされている人口は、世界で4100万人以上にのぼる。

 ローマに本部を置くこれら2つの国連機関は、報告書で挙げた23の飢餓ホットスポットでの救命を目的とした緊急人道支援活動を呼びかけるとともに、そこでの飢餓と人々の死を防ぐためには、もっとも警戒度の高い5つの地域への支援がとくに重要との見解を示した。

 報告書はさらに、「これらの悪化傾向の主な原因としては、紛争がもたらす悪影響と、新型コロナウイルスのパンデミックの影響が大きい。そのなかには、食糧価格の高騰、市場活動や遊牧民の生活を同時に脅かす移動制限、インフレの拡大、購買力低下、ならびに穀物生産現場における農閑期の早期化・長期化などが含まれる」としている。

 FAOとWFPによると、引き続き最高レベルのリスクにさらされているのは南スーダン、イエメン、ナイジェリアであり、ここに新たに、エチオピアのティグレ地域とマダガスカル南部が初めて加わった。

 南スーダンに関しては、2020年10月から11月の間にかけ、ピボー郡の一部で飢餓が発生する可能性が非常に高く、持続的かつ適時の人道支援がなされない場合には、さらに長期化すると予想されていた。

 イエメンにおいては、実際に飢餓的状況に陥った人々の数は事前の予測より低く抑えられているものの、状況は依然として予断を許さない状況だ。またナイジェリアは、北東部の紛争エリアに居住する人々の間で、破滅的なレベルの食糧不安に陥るリスクが懸念されている。

 さらに、アフガニスタン、ブルキナファソ、中央アフリカ、コロンビア、コンゴ、ハイチ、ホンジュラス、スーダン、シリアの9ヶ国においても、飢餓を招きかねない状況悪化が報告されており、多数の人々が切実な食糧不安に直面しているという。

 FAOとWFPは今年3月に報告書を発表してから、新たに6ヶ国を飢餓リスクのホットスポット・リストに追加した。具体的には、チャド、コロンビア、北朝鮮、ミャンマー、ケニア、ニカラグアだ。そのほか深刻な食糧不安に直面している国としてソマリア、グアテマラ、ニジェールの3ヶ国が挙げられた。またベネズエラは、最近のデータが不足していることを理由に、このリストには含まれなかった。

 アフガニスタンは、今年6月から11月にかけ、350万人が深刻な栄養失調と死亡のリスクを伴う史上2番目に深刻度の高い食糧不安に直面すると予測されている。同国に駐留しているアメリカ軍とNATO軍の8月の早期撤退が実現すれば、暴力の激化と避難民の増加がもたらされ、人道支援物資の配給活動にも支障が出ると懸念されている。

 厳しい国連制裁下で世界から孤立している北朝鮮に関しては、渡航制限と貿易制限の影響によって食糧安全保障上の懸念が高まっている。これによって食糧格差がもたらされる恐れがあるという。得られるデータが非常に限られているものの、朝鮮中央統計局の最近の統計とFAOが行った分析結果から、穀物不足の懸念が高まっているとの見方が示されている。

By EDITH M. LEDERER Associated Press
Translated by Conyac

Text by AP