生息地の環境悪化が原因? 中国でゾウが謎の大移動

Yunnan Forest Fire Brigade via AP

 ミャンマー、ラオスの国境近く中国の西双版納(シーサンパンナ)から、ゾウの群れが謎の大移動を決行中だ。これまで例のない長距離を北上。人口約680万人の都市昆明に到達する可能性もあり、不安と警戒が高まっている。

◆すでに1億円を超える被害
 人民日報によれば、このゾウの一群は8日夕刻の時点で、雲南省の省都・昆明市まで数十キロメートルの晋寧区夕陽郷付近を移動。中国では、アジアゾウは保護動物に指定されていることもあり、ゾウと人、双方の安全を図るため、現地では警官を含む775人以上が動員され、ドローン16台と車両304台を用いてゾウの動きを監視している。

 いまのところ幸い、人にもゾウにもけがは出ていないが、すでにゾウが引き起こした農地損害は56ヘクタール分、約680万元(約1億1600万円)に及ぶとみられる。この4月から2ヶ月未満で500kmの移動を敢行したゾウたちは、道々、トウモロコシなどの作物を食べ、畑や鶏を踏み荒らし、貯水槽の水を飲みつくしているからだ。(RTL info、6/2)

 シーサンパンナでは、2011年から2019年にかけて、ゾウにかかわる事故が4600件起きており、50人以上の死者を記録している(ラ・クロワ紙、6/8)。今後、ゾウの移動が都市部に移れば、けが人が出る確率も上がると考えられる。

Text by 冠ゆき