女性の活躍が日本の活性化に 企業に求められる課題と対策
◆我が国の課題と対策
我が国の企業に求められる課題は、以下の3点が挙げられる。
①男性中心の組織体制変革
日本企業の多くは、「残業する人が評価される」「性別を基準に役割分担される」など、男性中心の考え方がある。女性であることを理由に昇進・昇格の対象から外れるなど、男性と比較して管理職になるチャンスが少ない。
②育児とキャリア形成がしにくい環境の不備
女性には「出産」「育児」といったキャリアを中断させる要因がある。管理職になるためにはプライベートを犠牲にしなくてはならないなど、女性社員がキャリアを諦める可能性が高まる。
③女性管理職のロールモデルの不在
日本の女性管理職は、海外に比べて少ない。約2割を切る程度である。これは2015年時点で、米国が4割くらい、イギリスが3割くらい、フランスも3割弱、フィリピンでは5割程度。これらと比較すると、非常に低い。女性管理職のロールモデルがいないことは、女性社員が自分のキャリアを考える際にネガティブに働き、昇進のチャンスがあっても不安要因となる。
企業が男女ともに優秀な人材を採用することで、また管理職も男女間で隔たりがないことで、企業の競争力は高まるだろう。多様性が尊重された企業は男性にとって魅力となり、必然的に優秀な人材が集まりやすい環境になりうる。
女性が活躍できる環境整備は、「残業を減らす」「テレワーク推進」「業務の標準化」など、「業務棚卸し」「フロー見直し」が必要となる。その見直しで無駄な業務の廃止や業務の効率化を進め、コスト削減にもつながるだろう。
社内外に女性の活躍推進を積極的に進めている企業であることを知ってもらえれば、企業イメージのアップにもつながる。そこで必要なのは、まず妊娠・出産などのライフイベント対策である。社員のライフプランを考慮した柔軟なキャリアを考える環境を提供して、女性は安心感が高まる。また、女性は結婚・出産・育児など、働き方を変える機会が多く、働き方を柔軟に選択できる環境が必要だ。ライフイベントごとに時短勤務や在宅勤務を積極的に活用できる柔軟な勤務条件を整えることは、本意ではない退職を予防する効果があり、企業の競争力の強化につながる。
マネジメントでの意識を変えていく必要もある。社員研修などで、女性活躍が必要となる理由や必要な環境についての意見を集約していく機会を多く設ける。また、テレワークや時短勤務など、制度面でのバックアップを行い、ソフト面・ハード面の両方から女性が活躍しやすい環境にする。
こうした取り組みにより男女の相互協働により、企業の活性化と生産性が強化されていく基盤になると考えられる。
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