イラン女性、40年ぶりにサッカー生観戦できるように 発端となった女性ファンの悲劇

Marco Iacobucci Epp / Shutterstock.com

◆国際的なプレッシャーが後押し
 イランは現在、2022年W杯カタール大会アジア2次予選を戦っており、自国でも試合を開催している。ホダヤリさんの自殺を発端に世界中のサッカーファンが声をあげはじめた。イランのツイッター利用者はハッシュタグ「#WakeUpFIFA」を使い、より多くの女性が試合を観戦できるよう訴えた。国際サッカー連盟(FIFA)もこれに応えた。FIFA会長のインファンティーノ氏は、この禁止について「容認できない」と述べ、次のW杯予選の試合の前に禁止解除するよう警告した(CNN)。FIFAはイランに対し、スタジアムでの試合観戦が男性にだけ限られている状況を改善しなければ、同国代表の大会出場資格を停止するとも言った。

◆イラン女性たちの制限
「女性だから」という理由だけで、イラン女性たちは日々さまざまな縛りや制限のなかで生きることを強いられている。スタジアムでの試合観戦もそのなかの一つにすぎないが、今回ようやく認められた。同時期に、イラン女性が外国籍の男性との間に子供を授かった場合でも、自らの市民権を子供に渡す権利を与えられた。ヒューマンライツウォッチ(HRW)は、イラン女性が自分の国籍を子供も持つことができれば、その子供たちの医療や大学教育、仕事などさまざまな面でへのアクセスを改善できると述べた。

 一人の女性の命を犠牲し、またFIFAのような組織や国際的なプレッシャーを経てようやく容認された今回の女性のスタジアム試合観戦。とくにW杯など国際的なイベントに参加、または開催する場合は、一国のルールに縛られずグローバルな視点を持つことが必要となる。先日開催されたラグビーW杯に続き、2020年には東京オリンピック・パラリンピックを控える日本も、その視点を持つことを求められるはずである。

Text by sayaka ishida