フランス 航空券に「環境税」 同国発の便に適用 来年から

AP Photo / Christophe Ena

 フランスの交通担当相は7月9日、航空券に対する新たな税を来年導入し、その収益を飛行機以外の環境に優しい交通インフラの整備に充てると発表した。

 エリザベット・ボルヌ交通担当相によると、この「環境税」は1.5ユーロ(約182円)から18ユーロ(約2,184円)で、フランス発の大半のフライトに適用される見込みだ。

 コルシカ島行の国内便、フランス海外領へのフライト、そして同国を経由する接続便に限り、課税対象から除外される。また、フランス着のフライトにも環境税は適用されない。環境税導入の発表を受け、エールフランス・KLMや格安航空会社イージージェット、ライアンエアーの株価は値下がりした。

                                                                                                                 

 業界団体の国際航空運送協会(IATA)は、他業界の二酸化炭素排出削減に向けた取り組みに投資することで、航空業界による二酸化炭素の排出量を相殺する対策を支持しているが、フランスが発表した航空券への課税については、「見当違いの対策」だと批判した。

 IATAの広報担当、アンソニー・コンシル氏は「国が税金を課しても、航空業界の持続可能性対策の支援には決してつながらないだろう」と述べ、課税制度はよりクリーンな燃料、テクノロジーに対する航空各社の投資を促進するどころか、フランス航空業界の失速を招き、雇用を脅かす恐れがあると警告した。

 その一方で、航空業界はより広域的な気候変動対策の一環として、温室効果ガス排出量を削減すべきだと主張する環境活動家らは、今回のフランスの方針を強く支持している。

 ブリュッセルに拠点を置くトランスポート・アンド・エンバイロメントの航空専門家、アンドリュー・マーフィー氏は、「それだけではまだ不十分だが、フランス政府が、より多くの対策を講じる必要性を認識していることは示された」と言う。

 ボルヌ交通担当相によると、フランスの国内便とヨーロッパ便では、エコノミークラスの航空券には1.5ユーロ(約181円)、ビジネスクラスには9ユーロ(約1,090円)が課税される。EU以外の国際線についてはさらに高く、ビジネスクラスに18ユーロ(約2,180円)が課税される。

 参考までにイギリスの航空旅客税を見てみると、一般旅客機の利用に13ポンド(約1,750円)以上の税金が課され、最高額は172ポンド(約23,150円)にのぼる。同国財務省はこの航空旅客税から、毎年30億ポンド(約4,040億円)の収益を得ている。

 フランスの環境税は2020年から導入され、1.8億ユーロ(約218億円)超の収益をもたらす見込みとなっており、この資金は鉄道など環境に優しい交通インフラの整備に充てられる。10年以上前にはジャック・シラク元大統領が航空券に課税する同様の制度を導入しており、その収益は貧しい国々への医療援助費用として使用されている。

 マーフィー氏によると、フランスで新税制が導入されることを受け、航空機の利用による環境への影響を考慮し、航空券への課税制度をヨーロッパ全域に導入しようという取り組みが加速する可能性がある。

 ドイツ、イタリアのほか、一部北欧諸国もまた、航空券への課税を始めている。一方、ヨーロッパのその他数ヶ国は、付加価値税の免税を進め、ヨーロッパ便の燃油サーチャージを値下げしている。

 温室効果ガス排出量のうち航空業界による人的なものの割合は現在2%超とされているが、今後数十年で大きく増加すると予想されている。これについてドイツ環境省は7月9日、同業界の排出量を削減するため、二酸化炭素の排出量に基づいた航空機利用料金システムに関する議論を支持すると発表した。

 ドイツ環境省は声明文を発表し、「航空、道路、鉄道業界の競争についても、より公平な条件が求められている。これはヨーロッパが一丸となって解決すべき問題だ」と述べている。

By THOMAS ADAMSON and FRANK JORDANS Associated Press
Translated by t.sato via Conyac

Text by AP