ワイキキビーチが水没の恐れ 気候変動で海面上昇 対策法案が州議会通過

Honolulu Star-Advertiser, Cindy Ellen Russell via AP

 ハワイの象徴的なワイキキビーチが近い将来、海に沈む可能性がある。気候変動により海面が上昇し、白い砂浜や賑やかな通りが海水に飲み込まれるからだ。

 今後15〜20年のうちにホノルルが頻繁に洪水に見舞われるという予測があることから、州議会では、潮位上昇による都市の浸水防止を目的とした海岸線保護プログラムに多額の投資を認める法案を成立させようとしている。

 ここ最近でみても、最も高い波が押し寄せた時には、ワイキキビーチや繁華街周辺にある道路にも海水が押し寄せた。ハワイ島のインタラクティブマップによると、今後数十年のうちに洪水の増加、海岸の侵食、インフラの喪失により、州にある多くの地域で被害が発生するとみられている。

                                                                                                                 

 ビーチ観光が経済の成長をもたらしているハワイにとって、このシナリオは一種の警報ともいえる。一部の積極的な州議会議員たちは、高潮への備えを今すぐ始めるべきだと主張している。

「海面上昇に関する最近のデータを見ると、とても恐ろしい。これまで考えていたよりも上昇が加速している」と、海岸線保護計画の策定と実行を求める法案を中心となって起草した民主党のクリス・リー議員は述べている。このプロジェクトはホノルル都心部を中心としたものだが、州にある他の海岸地域でのパイロットプログラムとしても機能する。

 ハワイがハリケーンによる直接的な被害を受けることはあまりないが、リー議員の法案には、海水温度上昇で「多くのハリケーンの強度が増す」ために襲来リスクが高まると記されている。また、巨大ハリケーンが上陸した時の被害総額は400億ドル(約4.5兆円)と予想されている。

 同法案には、「何もしなければ、海岸沿いの建物やインフラの喪失、暴風雨被害や保険にかかる費用の増加、人命の喪失などが避けられない。それにより地元納税者、州の経済、生活様式にかなりの負担を強いることになる」と記されている。2012年にハリケーン・サンディから発達した暴風雨の影響で190億ドル(約2兆円)の被害があったニューヨーク市でも同様の動きがあった。

 ハワイの州法案では、今後2年間で400万ドル(約4.5億円)の予算をこのプログラムの推進に投資する。法案には、予算の確保につながり、化石燃料への依存を減らす可能性のある炭素税の調査を進める内容も含まれている。

 気候問題に対処するアメリカの取り組みで主導的な立場をとることの多い民主党が多数派を占めている州において、立法化への支持が証明されたとリー議員は話している。法案はハワイ州議会の上下両院を通過した。今後数週間のうちに両院の指導者が最終的な変更を審議し、民主党のデービッド・イゲ州知事に提出する。州知事室関係者は、知事が法案に署名するかどうかの明言は避けた。

 今は法案成立に向けた動きが進展しているが、その2年前には、将来の立法手続きと行政計画の指針として機能し、州が定める海面上昇への対処に関する報告書が公表された。

 同報告書に含まれている研究によると、ハワイの海面は今世紀末までに約0.9メートル上昇する。同島にある 6,000ヶ所の建物と2万人もの人々が慢性的な洪水に悩まされると予想している。報告書には、何マイルにも及ぶ道路、公益インフラ、ビーチが浸水するとある。港湾や低地にある空港も深刻な被害を受ける。

 レポートは昨年9月に内容が更新され、ハワイでの浸水地域に関する以前の見通しが35〜54%ほど過少推計されていたと注意喚起する最新の研究成果が盛り込まれた。

 この研究で主導的な役割を果たしたハワイ大学の研究者ティファニー・アンダーソン氏によると、これまでの海面上昇に関する予測には「バスタブモデル」という手法を用いて、どこで海面が上昇して洪水が発生するかが計算されていた。しかし、気候変動による洪水の影響に関する過去の予測には用いられていなかった海岸侵食や波のエネルギー振動といった諸変数を加えて分析したところ、被害が劇的に拡大してしまうことに驚かされたという。

「海岸線侵食、越波、浸水といった一連の作用は、ハワイに影響を与える追加要素になると長らく思案してきたが、被害の範囲が広がることが判明した。あとの2つの作用で海面上昇がこれほど起きるとは予想していなかった」とアンダーソン氏は話している。

 法案支持者で民主党のニコル・ローウェン州議員は、海岸近くに自宅を建てたいと思っている人はすでに慎重になっているだろうと述べている。

「いまなら、その場所が海面上昇による浸水地域だと分かっていれば、新たな建造物の建設を認めないというのは一理ある」と、州の建築許可基準を変更する別の法案で主たる起草者でもあるローウェン議員は話している。

 同法案は州上院歳入委員会で審議されたものの、公聴会の日程が決まらずに廃案となった。

「世界的な海面上昇と気候変動の影響は、経済に破壊的な影響をもたらすだろう。観光業にあまりにも多く依存し、原油価格上昇などの影響をもろに受ける。ハワイのような経済の場合、被害の回復は遅くなってしまう」とローウェン議員は話す。

By CALEB JONES Associated Press
Translated by Conyac

Text by AP

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