「政府は温暖化対策を」スウェーデンの高校生が始めた金曜日デモ、世界の子供のムーブメントに

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◆グレタさんに連動し集まる欧州、豪州の中高生たち
 ヨーロッパやオーストラリアを中心に、グレタさんの活動に連動して、同年代の高校生、中学生たちが、金曜日に学校を休んでデモを始め、週を追うごとに拡大している。デモの目的は、気候変動への対策の要求で、訴える内容は、炭鉱の閉鎖や法改正など、国や都市により異なるが、共通しているのは早急な対策を要求していることだ。

 ワシントンポスト紙は、この火急の対策を求める動きは、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した、このまま温暖化が進めば近い将来世界中で気候は破滅的になる、貧困が進むという内容のものなど、数多くの論文が発表されていることが背景にあると見る。

 拡大の一途をたどる学生デモの現状は、英ガーディアン紙の記事に詳しい。グレタさんの動きにいち早く反応したオーストラリアでは、昨年11月に1万5,000人と言われる高校生を動員するデモが開催され、現在まで続いている。活動が最も盛んと言われるスイスでは、1月18日に開催されたデモに参加したのは2万3,000人で、2月2日のデモでは6万5,000人にまで膨れ上がったという。さらに中高生によるデモは、ドイツ、ベルギー、フランス、イギリスなどでも開催されるようになり、相当な人数を集めている。3月15日には世界一斉デモが150の都市で計画されている。

 デジタル世代の学生たちはSNSなどを駆使してデモをオーガナイズしている模様で、同英ガーディアン紙の記事によると、ツイッターでは#climatestrikeというハッシュタグを用いデモの情報が共有されているという。その情報を元に、世界中を網羅する、デモの開催が計画されている場所を記したグーグルマップも作成、共有され、有志により参加のしやすい環境が整備されているのも、デモがまたたく間に拡大した大きな要因とみられる。

◆拡大の一途の大規模デモ、日本への影響は
 15歳の少女がたった1人で始めた抗議活動は実に大きな数の同世代の学生たちを動かすこととなった。海外メディアではこの同時多発的なデモのニュースは大きく取り上げられているが、各メディアがインタビューした参加者の年齢には14歳や11歳という低年齢のものが散見され、ヨーロッパやオーストラリアで政治へ関心を持ち、行動を起こす人たちの年齢が下へ大きく広がっていることを感じさせる。

 翻って日本を見ると、今回のデモのメディアでの扱いは総じて小さく、前述の、デモの開催情報のグーグルマップを見ても、日本のデモは、デモの数自体も参加者も著しく少ない。学校を休んでデモに参加することには賛否があるが、近年、ゲリラ豪雨、酷暑、厳冬と激しい気候変動の影響を受けているのは日本も同じである。その日本で、世界同時多発的なムーブメントについて話題にものらないのは、危機感の欠如か、政治への無関心なのだろうか。

Text by Tamami Persson