ハンバーガーは週1回、卵は4個… 健康と環境によい食生活、専門家が提言
ブラジルのサンパウロ在住のシステムアナリスト、クレバーソン・ベルナルデス氏は、赤身肉を食べるのは週に1度だけという制約を課しているからと言って、バーベキューレストランに行ったのに何も食べずに席を立つのは「馬鹿げている」と言う。ドイツのベルリンに住む職人であるエリック・ラングート氏は、温室効果ガスの排出を抑止するもっと良い方法があると言い、世界中で肉の消費量を削減しようという提言を受け入れようとはしない。
ブラートブルストというソーセージが有名な地域の出身であるラングート氏は、「肉を食べない食事なんて、まともな食事ではない」と鼻息を荒くする。
ハーバード大学で栄養学を研究し、レポートの著者の1人でもあるウォルター・ウィレット教授は、このレポートのなかで食生活がもたらす環境への影響を考察する以前に、人々にとってどのような食事が最も健康的なのかを概説しようと努めた。もはや鶏卵が心臓病のリスクを高めるとは考えられていない一方で、全粒穀物、ナッツ、そして果物を朝食として摂取するほうが健康的だとする研究結果に基づき、鶏卵の摂取を制限するよう推奨している。
そして、誰もが皆ヴィーガンになる必要はなく、既に大勢の人々が摂取する肉の量を自発的に制限しているという。
「ロブスターのような食品を思い浮かべるといい。ロブスターは私の大好物であるが、私はせいぜい年に数回しか食べない」とウィレット教授は語る。
赤身肉の摂取を制限しようという提言はさほど新しいものではなく、飽和脂肪酸の摂取と関連している。飽和脂肪酸は、チーズ、牛乳、ナッツ、および、ココナッツオイルやパーム核油で加工した食品にも含まれている。このレポートにおける食事と健康に関するデータは、ヨーロッパ諸国とアメリカから得たものだ。アジア諸国で行われた大規模な調査では、鶏肉と赤身肉(主に豚肉)を食べることが長寿につながることが判明した。アジア諸国に住む人々の肉の摂取量は、相対的に欧米の人々より少ないことも長寿の理由の1つかもしれないとレポートは述べている。
スタンフォード大学のヨアニディス教授は、栄養学的な調査は、しばしば食事と健康の間に見られる関連性に基づいており、また、過去に発表された関連付けの一部には、検証されていないものもあると指摘した。例えば、食事性コレステロールは、もはや血中コレステロールと強い関連があるとは考えられていない。
食肉産業界や酪農産業界も、自らの製品は重要な栄養素を提供しており、健康的な食事の一端を担っていると主張し、レポートが推奨する食生活に異議を唱えている。