「3億円超マグロ初競り」に海外メディアは冷ややか 祝賀ムードにかき消されたもの

Eugene Hoshiko / AP Photo

◆懸念される日本の食品、食文化のイメージ低下
 英ガーディアン紙は短い記事で、豊洲の初競りでのクロマグロの驚くほどの高値と、日本がクロマグロの最大の消費国で、乱獲のため個体数が、マグロ漁が産業化する以前と比べると96%も減少していると記述。加え、新しい市場がガス工場の跡地に建てられたため土壌汚染の可能性から移転が繰り返し遅延となったことにも触れた。

 AFPも豊洲の初競りについて伝えたが、昨年の築地から豊洲への魚市場の移転問題を絡めた。築地は古い建築であったため現在の防火基準を満たしておらず、衛生面の管理も心配されていた一方、最新の設備を備え敷地面積の広い豊洲はガス工場跡に建てたため土壌の汚染が見つかり、除染に多額の費用がかかったうえ移転が遅れたと伝えた。

 日本国内では近年、新年の明るいニュースとして伝えられてきた築地、豊洲のクロマグロの初競りであるが、海外からの客観的な視点で見ると異なるファクトが浮かびあがってくるようだ。上記に紹介したメディアは客観的事実を取り上げたものであるが、それらの事実は、大きく見ると、日本の食品や食文化のイメージの低下を招きかねないものであるといえるのではないか。

Text by Tamami Persson