「3億円超マグロ初競り」に海外メディアは冷ややか 祝賀ムードにかき消されたもの
世間をあっと言わせる高額な「ご祝儀相場」のニュースが日本の新年の風物詩となっていた築地市場のクロマグロ初競りは、今年は昨年移転した豊洲市場に引き継がれ、1月5日、278kgのものが3億3,360万円という過去最高値が出たことが大きな話題となった。このニュースは海外のメジャーなメディアにも取り上げられたが、論調はおしなべて批判的かつ深刻なところが多かった。それはなぜなのか。
◆「絶滅危惧種でも漁獲し続ける日本」へ非難の目
どのメディアも、まず豊洲の初競りでのクロマグロの驚くほどの高値を伝えたのち、それぞれの論調に入った。ニューヨーク・タイムズ紙は、クロマグロは、近年乱獲により絶滅の危機に瀕しているにもかかわらず、高値で取引されるために、最新の技術を導入し漁が行われ続けていること、世界のクロマグロの漁獲高の80%が寿司や刺身として消費されるために日本へ送られることを指摘。そして、国際社会による絶滅危惧種の保存の努力に日本が従っていないと訴える。
ワシントンポスト紙は、太平洋クロマグロは、個体数の減少から、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)で「vulnerable(危急種)」に指定されていると指摘。2017年には日本とその他の国が、2034年までに20%の個体数回復を目指し厳しい漁獲量制限を設けることに合意したものの、日本では翌6月に農水省前で数百人の漁業者による抗議活動を引き起したと伝える。
そして、NGOピュー・チャリタブル・トラスト(Pew Charitable Trust)のジェイミー・ギボン氏の「太平洋クロマグロの初競りを取り巻く祝賀ムードにより、この種が抱える問題の深刻さがかき消されている」というコメントを紹介。同氏によると、日本が合意に従い漁獲量を減らしたという報告はない上、日本もその他の国も2019年の漁獲量の増加へ向けたロビー活動を行っているという。
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