オランダの「ごみ釣り」ツアーが大盛況 お金を払って運河をキレイに

Plastic Whale

◆ボートは集めたペットボトルの再利用品
 同社は10艘ほどのボートを所有している。材料には、運河で集めたペットボトルも再利用して使っている。ペットボトル数千本を加工して細い棒にし、それを何本もつなげて板状にすると船体になる。2014年に第1艘目が完成した。最新のボートでは、船底にカラフルなペットボトルのふたを敷き詰め、洒落た感じに仕上がっている。

 スミットさんのごみ釣りツアーのアイデアは、アジアを旅行して、海辺のごみの山を見てショックを受けたことがきっかけだった。どうにかできないかと思いながらアムステルダムに帰ってきたところ、地元の運河がごみで汚れていると改めて気が付いて驚いた。

マリウス・スミット氏(Boudewijn Bollman)

 とにかく運河からごみを集めて、そのごみでボートを1艘作ろうと決めたという。すぐに支援の輪が広がり、既成のボートでのごみ釣りツアーがスタート。ツアーを重ねて回収したペットボトルがたまり、ボートの数も増えているというわけだ。

◆ほかの国にも広げる予定
 ごみ釣りツアーは、2016年から南部ロッテルダムの運河でも行っている。今後はオランダ以外の都市でも開催を計画している。「プラスチック・ホエールは、この深刻な環境問題を解決するためにある」と言うスミットさんは、もっとたくさんの人たちの注意を喚起して行動を起こしてもらおうと奮闘している。

◆東京ではゴム製カヌーで「ごみ釣りツアー」
 ごみ釣りツアーは、日本にもある。都心の水辺探訪クラブが週末に開催していて、3人以上の申し込みがあれば実施とのことだ。

 Eボート(10人乗りのゴム製カヌー)に乗って、ごみを集めながら、スカイツリーを背景に、鳥や植物を観察することができる。漕ぎ方の説明と安全指導をしてもらったあと川でごみ釣りをする。料金は、中学生以上2380円、小学生1580円、幼児1180円。将来、日本でも少しずつ広まっていくかもしれない。

Text by 岩澤 里美