温暖化が自然界の「食事タイム」を乱している 新研究で判明

獲物のアオガラが早く飛来するようになったことで、その間食事にありつけなくなったハイタカ(AP Photo / Darko Vojinovic)

「このトレンドが、今後は弱まる、あるいは近い未来に解消されるという、はっきりとした証拠はありません」これは、研究を指揮したカナダのオタワ大学の生態学者ヘザー・カールーバ氏の言葉だ。

 例えばオランダでは、タカにとっての狩りの獲物であるアオガラが、ここ16年間で、ハイタカよりも6日早く飛来するようになった。結果として、その間ハイタカが食事にありつけないという事態が生じている。

 もっとも顕著で切実な例は、米国ワシントン州にあるワシントン湖だ。ここでは過去25年間で、植物性プランクトンがその捕食者である動物性プランクトンよりも34日も早く増殖を開始するようになった。これは食物連鎖の根底部分が攪乱を受けている証拠で、きわめて深刻な事態だとカールーバ氏は警告した。

 またグリーンランドでは、カリブーの食草が、カリブーの移動・到着よりも3日近くも早く発芽を始めていることがわかった。この結果、十分な食物が得られず死亡するカリブーの幼獣が増えているという。

 より温暖な気候条件下では、ほとんどの種は、特定の行動習慣を気候変化に合わせて早める。ところが、相互依存する2つの種の両者ともが同じ割合で行動を早めるとは限らない。カールーバ氏は、この両者間での、タイミング変化の速度の違いが重要なカギだと指摘した。

 広域にわたって幅広い種を対象にした過去の研究が他にはないことから、今回カールーバ氏の研究チームは、種間の行動タイミングの一致性と気温との間に、統計的な有意性を見出すことはできなかった。しかし得られた観察結果から、カールーバ氏は、「その二つには相関性がある」との見解を示した。

 この研究に加わっていない他の科学者らも、この研究を高く評価した。

「種間の相互関係の変化をテーマにした過去の研究は、あくまで1つの場所、あるいは特定の種のグループに焦点を当てたものばかりでした。しかし今回の新研究は、世界中の多くの種の相互関係が、いま急激に変化していることを示しています」ボストン大学の生物学教授リチャード・プリマック氏は、メール上でそのようにコメントした。

By SETH BORENSTEIN, AP Science Writer
Translated by Conyac

Text by AP