コーヒーのこと

© Yumiko Sakuma

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 ブルックリンという場所に住んでいると、日々、口にするコーヒーの味にハッとする。うちから徒歩圏内に、いわゆる「サードウェーブ・コーヒー」の店が10軒近くあって、自転車に乗れば、ニューヨークの「サードウェーブ」の代表格〈カフェ・グランピー〉のロースタリーがある。15年前だったら考えられないことだ。

 アメリカでは、20世紀中盤までに一般家庭にコーヒーが普及した時代を「ファーストウェーブ」、北カリフォルニアに〈ピーツ・コーヒー&ティー〉が登場した1960年代以降、ハワード・シュルツがスターバックスをアメリカに普及するまでの時期を「セカンドウェーブ」と呼ぶ。

「サードウェーブ」時代のコーヒーの特徴は、ロースト(焙煎)や淹れ方のバリエーション、中南米や東南アジア、アフリカといった原産国の労働環境や価格にコミットする「フェアトレード」、豆をブレンドせずにひとつの産地のものをそのままローストして出す「シングルオリジン」などにあると言われる。

 もともとあったチェーン系のコーヒー各社にくわえ、サイフォンや手淹れのインディペンデント系のコーヒーショップが多様だった日本にも、スターバックスが1996年に、そしてその後はサードウェーブ・コーヒーが進出して、飲めるコーヒーのタイプが多様化した。

 こうしたことは、自分がコーヒーショップを消費者として訪れたり、コーヒーについて書いたりするうちに学んだことだったが、去年、レクサスが発行する『BEYOND』という媒体の取材で沖縄を訪れたときに、私ははじめてコーヒーを摘むという体験をする機会に恵まれた。

 沖縄の那覇に、栄町市場という場所がある。終戦直後は闇市として栄えたもののその後は客足の低下に悩み、近年では移住者の開くバーや居酒屋やショップによって活気が戻った市場だ。そこには〈ポトフォト(potohoto)〉というコーヒーショップがあって、驚くほどおいしいコーヒーを飲むことができる。オーナーの山田哲史さんが長野から移住して開店した小さな店。これまでコーヒーの産地としてほとんど知られていなかった台湾の豆を使うなど、山田さんは新たな味を探求している。そんな山田さんの案内で沖縄本島でもコーヒー豆が穫れる場所があると知り、収穫の体験をさせてもらうことになった。

 山田さんについて行った先は、北部は名護のクックハルという施設。やんばる(北部の山林地域)の農作物の作り手と、農作物を必要とするメーカーを結びつける活動をしている。そこから車に乗って、中山コーヒー園を訪ねた。

Text by 佐久間 裕美子

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