素材のことを考える 2

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 レザーの商品を買わない、という挑戦をしていたことがある。『ヒップな生活革命』の中で、ブルックリンでレストランや肉屋を営む〈ダイナー〉〈マーロウ&サンズ〉のアンドリュー・ターロウが、食肉用の動物の皮を革に転用しようとする試みを紹介した。それをきっかけに、革のことについて調べるようになったのだが、これがけっこうなかなかに難しい。食肉業者の中には、皮を革業者に売っているところもあれば、廃棄してしまうところもある。

 革を染めるために使われる染料や油を見ても、大量生産時代には、有害な化学物質を使うことが当たり前になってしまった一方で、ここ数年のクラフトブームのなかで、19世紀頃まで広く使われていた植物性の油を使う「ベジタリアン・レザー」を扱う若手の革ブランドも登場してきた。調べてみて思ったのは、消費者の立場からすると、革がどういう手法で作られているのか明らかにするのはとても難しい、ということだ。

 錯綜する情報にだんだん混乱してきたし、革製品を重いと感じるようになってきたこともあり、しばらく「革が使われる商品を買わない」ことを試してみた。実際にやってみると、必然性のない箇所に革がなんとなく飾りとして使われている商品もある一方で、特に靴など、革を排除するとどうにもならないアイテムもある。半年ほど頑張って諦めたのだけれど、革が使われる場所に注意することが習慣化したのを収穫としようと、自分を慰めた。

 その過程で「ヴィーガン・レザー」という素材があることも知った。ヴィーガン・レザーは、フェイクファーに少し似ている。着飾るために動物のファーを使うことには昔から抵抗があったし、欲しいと思ったこともなかったけれど、フェイクファーならたまにはいいか、くらいの気持ちでいたのだが、調べてみると一般的なフェイクファーは、製造過程で石油を使うことが多い。同様に、ヴィーガン・レザーを作るためにも、だいたいの場合、石油が使われている。こうしたことを教えてくれたのは、サステイナブル・ファッションを追求しているファッション業界の友人たちだった。

 考え始めると、はっきり言ってキリがない。原理主義的な考え方は多くの人に支持してもらうことは難しいし、いちいち「これは必要なのか?」と考え始めてしまうと、だいたいの場合、答えはノーなのだから。

 ただわかったのは、レザーもファーも、何世紀も前に人間たちが、暖かさや耐久性のために衣類に取り入れた手法だった。いつしかそれが産業になって、当たり前の存在になった。ファーには、動物愛護運動家たちからの激しい反対がある一方で、レザーを使うことを疑問視する人は少ない。

Text by 佐久間 裕美子