発見されていた海洋爬虫類に新事実 「白亜紀の地球環境や生態系の謎を解明する手がかり」
画像はイメージ(Flicker/ Andrea Wright )
2009年にチリで発見された化石。
【画像】「生態系の謎を解明する手がかりになる」化石の最後が判明
調査で「フィオナ」と名付けられたその海洋爬虫類が最後に食べたものやヒレの傷の治癒跡、また発育途中だった双子の胎児の詳細が判明しました。
Journal of Vertebrate Paleontologyに研究論文が掲載されています。
チリで発見されていた化石の詳細が判明
南米チリ・パタゴニア地方のトーレス・デル・パイネ国立公園で、中生代(2億5,200万年前から6,600万年前まで)に生息していたとされる海洋爬虫類の化石が発見されました。
この生物はイルカのような肉食動物で、体長は約3.5mほど。
「海のTレックス」とも呼ばれるほど、獰猛な魚竜の一種だったようです。
2009年に初めて発見された化石は、2022年に研究チームにより発掘されました。
研究者たちは、調査の過程でその魚竜がメスだったことが判明したため、以降「フィオナ」と名付けて研究を進めてきました。
最新のフィオナのCTスキャンで、驚きの事実が発覚。
1億3,100万年前に海底で最期を迎えたフィオナは、ちょうど双子を妊娠中だったのです。
しかも、赤ちゃんはフィオナの体内に尾の部分から先に生まれるような状態で入っていたこともわかりました。
スキャンでは、体長約15cmの赤ちゃんの骨格も明確に見ることができたようです。
フィオナの化石は、死骸が堆積物の中に急速に埋没したことと海底の酸素濃度が低かったことから驚くほど良い保存状態でした。
そのため、スキャンで最後に食べた小魚の残骸までもが、はっきりと見えたそう。
研究者たちは、現在もフィオナの骨から多くのことを学んでいます。
これらの調査結果は、白亜紀の地球環境や生態系の謎を解明し、魚竜の食習慣を垣間見る貴重な手がかりになるということです。