台湾沖で発見された謎の顎骨 最古の人類であることが判明
画像はイメージ(Flicker/ Eric Hunsaker )
台湾沖で発見された謎の顎骨は、調査の結果、絶滅した最古の人類とされるデニソワ人のものだと判明しました。
【画像】「人類進化史を変える大きな発見」発見された顎骨の正体
Scienceなどが伝えています。
台湾の海底で発見された顎骨
その昔、地球上にはネアンデルタール人や私たち人類の先祖とされる現生人類ホモ・サピエンスの生息にくわえて、デニソワ人が旧人類としてアジア広域に存在していました。
マックス・プランク進化人類学研究所の過去の調査によると、デニソワ人は100万年ほど前に現生人類から分岐した、未知の新系統の人類だったようです。
2015年、台湾の澎湖水道の海底から原始的人類のものとされる下顎骨化石が発見され、日本や台湾、デンマークの国際共同研究チームが研究を続けてきました。
研究者たちは、最先端技術を使用して化石から古代タンパク質を抽出することに成功。
DNA分析の結果、その骨がデニソワ人の男性のものであることが判明しました。
この調査結果は、デニソワ人の分布域においても新たな発見となったようです。
これまで、研究ではデニソワ人の化石はアジア北部でしか見つかっていませんでしたが、顎の骨という物的証拠から、彼らがアジア南東部にも分布していたということがわかったのです。
デニソワ人は、更新世時代にアジア全域を放浪していたネアンデルタール人やホモ・サピエンスと同時代に生きていた原始人で、「いとこ」だと言われています。
しかし、100年以上前からヨーロッパと西アジア全域で骨が発見されているネアンデルタール人とは異なり、デニソワ人はDNAから知られることがほとんど。
そのため、大量の化石コレクションが無い限りは、専門家が新しいデニソワ人の骨格を同定し、彼らがどこに住んでいたのか、人類とどのように関係しているのかを解明することは難しいのだとか。
それだけに、今回は人類進化史におけるその位置づけを変える大きな発見となったようです。
研究の詳細は、東京大学総合研究博物館のサイトでも紹介されています。