新種の海賊グモを2種発見 「獲物のふりをしてだまし討ち」
画像はイメージ(Flicker/ Jim, the Photographer )
中国南西部の貴州省で、他のクモを専門に襲う「海賊グモ」の新種2種が発見されました。
この詳細は、出版社「PENSOFT」が展開している学術誌『Zoosystematics and Evolution』に掲載されています。
極小ながら他のクモを襲って捕食
「海賊グモ(pirate spiders)」は、ミメトゥス属(Mimetus)に属するクモで、巣を張らずに他のクモの巣に侵入し、獲物のふりをしてだまし討ちにするという珍しい捕食スタイルを持っています。
獲物の巣に擬似的な振動を与え、相手を引き寄せて襲うこの性質から、「カニバルスパイダー(共食いグモ)」とも呼ばれています。
今回記載されたのは、泡のような突起を持つ背中が特徴的なミメトゥス・グイヤン(Mimetus guiyang)と、他のクモの巣の上を動き回る姿が観察されたミメトゥス・ランメイエ(Mimetus lanmeiae)の2種です。
ミメトゥス・グイヤンはわずか2.1mmほどの極小サイズで、腹部に泡状のふくらみが並んだ硬毛の根元があり、体表の模様や生殖器の構造でも他種と区別されます。
一方のミメトゥス・ランメイエは、透明感のある小さな体を持ち、他のクモの巣に乗って獲物のふりをする擬態行動を見せます。
まさに「海賊グモ」らしい性質を示しており、学名は標本採集者の母親にちなんで名付けられたということです。
DNA解析により雌雄の識別や種の違いが明らかになり、貴州省で確認されたミメトゥス属のクモは計8種となりました。
これは中国国内で最多とされており、研究者らは貴州省が未発見の生物種を多く含む地域である可能性を指摘しています。
この発見に対し、世間では「まだ発見されていない生き物が、どれだけいるんだろうって考えさせられるよね」といった興味深げなコメントも寄せられました。