標本の再調査で発覚 16種のバッタ新種を発見
画像はイメージ( Joydeep/ Wikipedia Commons )
アメリカミシシッピ州立大学などの研究チームが、バッタの新種16種を発見しました。
【画像】「昔からバッタが大好きだった」という研究者が発見した新種
この研究成果は、学術誌「ZooKeys」に掲載されています。
バッタを追いかけ回していた少年時代
今回記載されたのは、メキシコから米国南部にかけての乾燥地帯で、Agroecotettix(アグロエコテティクス)属に属する「アグロエコテティクス・シルバーヒールシー」「アグロエコテティクス・テックスメックス」「アグロエコテティクス・カーロアエ」などを含む16種の新種です。
いずれも中央メキシコから南テキサス平原、チワワ砂漠、シエラ・マドレ山脈など生物多様性の高い地域で採集されました。
発見のきっかけは、既存種とされていた「アグロエコテティクス・アリスタス」の雄の生殖器官に予想外の形態差が確認されたこと。
これを機に標本群の再調査が行われ、隠れた種の存在が次々と明らかになったといいます。
新種はすべて形態比較により分類されており、体の大きさ・翅の発達程度・生殖器の構造などの形質が決定的な違いとして記録されています。
特に注目されたのは、チワワ砂漠で確認された11種のうち9種がその地域の固有種だったこと。
これにより、この乾燥地帯がアグロエコテッティクス属の進化の中心地である可能性が浮かび上がりました。
また、氷河期における乾湿の変動や地形の分断が、同バッタの進化と分布の背景にあると研究者らは推測しており、チームは今後、DNA解析による遺伝的裏付けも進めていく予定です。
研究を主導したミシシッピ州立大学のジョヴォン・ヒル助教授は、メディアに対し「子供の頃にバッタを捕まえるのが大好きでした。いまでもそれを仕事として続け、新しいことを発見し、バッタの歴史や関係性を解き明かせるなんて、本当にやりがいを感じます」と述べています。