意識不明の状態で救急搬送された女性 突然話したことのない訛りで発音
画像はイメージ(Flicker/ Erling A )
2024年5月4日、ロンドン北部に住むアルシア・ブライデンさんはベッドで意識不明の状態で発見され、病院に緊急搬送されました。
【動画】「人が変わったみたいだ」突然違う言語訛りで話し始めた女性
ここから、奇妙な出来事が始まったのです。
イタリア語訛りの英語を突然話し始めた女性
その後の検査で、脳卒中を起こして話すことも体の右上半身の感覚も失っていることが判明したアルシアさん。
8月に手術を受けた翌日、集中治療室で回復していたアルシアさんは、血圧を測るために看護師に起こされたところ、「突然、話し始めた」といいます。
看護婦たちは、長い間話すことができなかったアルシアさんが突然話し始めたことに驚きましたが、その時アルシアさんの英語がイタリア語のようなまりを帯びている事に気が付きました。
BBCなどの報道によれば、この現象は、医学的には「外国語様アクセント症候群(Foreign Accent Syndrome:FAS)」と呼ばれています。
非常に稀な症状で、世界中で報告されている症例は数十件に過ぎません。
アルシアさん自身はイタリアに行ったこともなければ、イタリア語を学んだ経験もありません。
それにも関わらず、脳卒中の後、周囲の人々から「イタリア人みたいな話し方だね」と言われるようになりました。
彼女の話し方のリズム、母音の伸ばし方、イントネーションがイタリア語に似ているというのです。
ジャマイカ出身のアルシアさんは、「以前は、女王のように話せなくても、イギリス人のように英語を話していました」と言います。
アルシアさんの英語の言語能力は保たれており、語彙や文法に問題はないにもかかわらず、不思議なことに話し方だけがまるで異国の人のようになってしまったのです。
このまれな症状は、人の話し方が普段のアクセントと異なり、他の人にとって外国語のように聞こえる状態であり、通常は脳卒中などの脳損傷の結果として起こると説明されています。
ただし、外国語様アクセント症候群の患者は特定の外国語訛りを習得するのでも外国語を新しく身に付けるものでもないのです。
この症状は、本人にとって混乱や孤立感をもたらすこともあります。
アルシアさんは、話し方だけでなく、笑い声やボディーランゲージまで変わってしまったことで「自分が自分ではないような感覚」に悩まされたとのこと。
それでも彼女は、リハビリや専門家の支援を受けながら、自分の話し方と共に生きる道を選びました。