世界3例目、日本では初 ヤドカリに宿る甲殻類を新種記載
画像はイメージ(Uwe Kils/ Wikipedia Commons )
日本の南西諸島で、ヤドカリに寄生する新種の甲殻類が国内で初めて発見されました。
【画像】「日本にいないと考えられていた」新種記載された甲殻類
学術誌「Zootaxa」で正式に報告されています。
ヤドカリノハラヤドリの新種記載は75年ぶり
この発表は、京都大学理学研究科およびフィールド科学教育研究センターの研究チームによって行われました。
新種は「Falsanathelges grandiceps(ファルサナセルゲス・グランディケプス)」(ヤッコヤドカリノハラヤドリ)と命名。
南西諸島に生息するヤドカリの一種「Cancellus mayoae(カンケルス・マヨアエ)」(ヤッコヤドカリ)の腹部に寄生していたことから発見に至りました。
これは頭部が体長の約4分の1と大きく、頭部が幅より長いという形態的特徴を持っています。
雌の体では歩脚の基部や腿節に大きな突起が見られず、泳ぐための足(遊泳肢)や体側の板(側板)は幅広い楕円形をしています。
尾の先には柄を持たない二又の尾肢が備わっており、腹部は節の区切りが見えないほど滑らかに融合しているのが特徴。
また雄の腹部後端には、小さな突起(結節)が一対確認されているということです。
日本産ヤドカリノハラヤドリ亜科の新種記載は 75年ぶりで、ファルサナセルゲス属として記載された種は世界で3種目、日本では初めての記録となります。
これまで同属の種はマレーシア、インドネシア、フィリピン、台湾など東南アジアの限られた地域でのみ確認されていました。
研究を主導した同大学の篠田晏希さんは、「初めての論文投稿ということもあり、苦難の連続でしたが、多くの方々の支えにより論文を出版することができました。たくさんの方々にヤドカリにこんな生物が寄生していることを知っていただけたら幸いです」とコメントしています。