ロシアで抗議の動き インフルエンサーもプーチン批判、支持率低下

Mikhail Metzel, Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP

 最近、ロシアの複数のインフルエンサーがウラジーミル・プーチン大統領に向けた公開の訴えを発表し、政府とその政策を批判した。さらに一部の熱烈な支持者でさえ反乱の可能性に言及する事態となっている。これは、逼迫する戦時経済と強まるインターネット規制を背景とした、国民の抗議の最新の波である。

 これらの異論はいずれも直ちにプーチン体制への差し迫った脅威を示すものではないが、専門家らはクレムリンにとって新たな、そして拡大しつつある課題になっていると指摘する。

 ロシア政治の専門家であり、マヤク・インテリジェンス(Mayak Intelligence)の代表を務めるマーク・ガレオッティ氏は、分析の中で「現状維持のためには、ますます大きな努力が必要になっている」と記した。

 ロシアで広がる抗議の動きと、その背景を整理する。

◆支持率低下の中でインフルエンサーが訴え
 ロシアの人気ブロガー、ビクトリア・ボニャ氏による19分間の動画は、10日前にインスタグラムで公開されて以来、3100万回の再生回数を記録している。

 同プラットフォームで1360万人のフォロワーを持つボニャ氏は動画の中で、南部ダゲスタン共和国での最近の洪水への地元当局の不十分な対応や、農民の抗議を招いたシベリアでの家畜の殺処分、深刻なインターネット規制、中小企業への圧迫などについて、プーチン大統領は誤った報告を受けている可能性があると不満を示した。

 現在は海外に居住するロシアの元テレビ司会者であるボニャ氏は、自身がプーチン氏を支持していることを強調しつつも、一般のロシア人や政府関係者は報復を恐れて真実を伝えられないのだと語った。

 「あなたが知らないことはたくさんある」と彼女は語った。「今、人々は声を限りに叫んでいる。彼らは持っているものをすべて奪われ、なおも奪われ続けている。企業は死にかけている」

 この動画への反応は急速に広がった。他のロシアのインフルエンサーたちも動画で同様の感情を表明し、その一部は後に削除された。

 国民の批判を認める異例の対応として、プーチン大統領の報道官ドミトリー・ペスコフ氏は、クレムリン当局者がこの動画を確認しており、ボニャ氏が言及した問題について「多くの取り組みが進められている」と述べた。「いずれも無視されてはいない」とペスコフ氏は語った。

 長年プーチン氏を支持してきた共産党のゲンナジー・ジュガノフ党首は21日の議会演説で政府を強く批判し、自身の党が以前からこれらの問題を指摘してきたと述べた。また、問題への対応がなされなければ1917年のボリシェヴィキ革命の再来になりかねないと警告した。

 反乱の可能性に関する言及は、親クレムリンのテレグラムチャンネルや体制寄りの軍事ブロガーの間でも定期的に見られる。

 その一方で、ロシアの国営世論調査機関VTsIOMは、ここ数週間でプーチン氏の支持率が一貫して低下していると報告した。反体制派への広範な弾圧を踏まえると、世論調査が実態を反映していない可能性があると指摘する専門家もいる。しかし、24日に発表されたデータによると、プーチン氏の支持率は65.6%となり、ウクライナでの戦争開始前以来の最低水準となった。2025年12月下旬の77.8%から低下している。

 独立系の代表的な世論調査機関であるレバダ・センターも、プーチン氏の支持率が2025年10月の85%から3月には80%へとわずかに低下したと報告している。

◆インターネット規制が不満を招く
 ロシア各地で、国民は昨春以降、携帯電話のインターネット回線の定期的な遮断に直面している。当局はこれをウクライナによるドローン攻撃を阻止するためと説明しているが、批判的な人々は、こうした遮断はインターネットを政府の強い統制下に置く長年の取り組みの一環だと主張している。

 この措置は、ワッツアップやテレグラムといった主要なメッセージングアプリを含む数千のウェブサイトやプラットフォームがブロックされたり通信速度を制限されたりしてきた、拡大し続けるインターネット検閲にさらに拍車をかけている。

 当局は「Max(マックス)」と呼ばれる国営メッセージングアプリの普及を進めているが、多くの人々から監視ツールとみなされている。同時に、検閲回避を防ぐためVPNのブロックも行っている。

 これらの措置に対する不満は、大統領府への請願、政府に対する集団訴訟、少数の街頭抗議、さらには当局によって阻止された大規模抗議の試みなど、さまざまな抵抗行動を引き起こしている。

 しかしクレムリンは動じていないようだ。23日の政府会議でプーチン大統領は、遮断は「テロ攻撃を防ぐ」ために必要だと改めて正当化し、規制について国民への周知を強化するよう当局に求めた。

 カーネギー・ロシア・ユーラシア・センターのタチアナ・スタノバヤ氏はテレグラムへの投稿で、大統領の発言は、治安機関が「すべてを正しく行っており、必要と判断する限りそれは続く」ことを示していると指摘した。

◆逼迫する経済が不満を増幅
 こうした批判的な動画が広がった背景には、戦時経済への負担の増大がある。

 巨額の軍事支出による初期の押し上げ効果が薄れた後、経済成長は停滞した。インフレ抑制のため中央銀行が導入した高金利や増税も企業に重くのしかかっている。

 マクシム・レシェトニコフ経済発展相は最近、経済の蓄えは「大部分が枯渇した」と述べ、プーチン大統領も今月上旬のテレビ中継された政府会議で、経済成長が2カ月連続で低下していると語った。ロシアの国内総生産(GDP)は1月から2月にかけて1.8%縮小したという。

 レバダ・センターのデニス・ボルコフ所長は、経済問題がプーチン氏と政府に対する不満増大と支持率低下の主因だと指摘する。

 「生活が苦しくなると人々の気分は悪化し、それが世論調査に表れる」とボルコフ氏は語った。

◆終わりの見えないウクライナ戦争
 キングス・カレッジ・ロンドンのロシア政治学教授サム・グリーン氏は、5年目に入ったウクライナでの戦争が早期に終結するとの期待が薄れている点も指摘する。

 こうした期待は、2025年1月にアメリカのドナルド・トランプ大統領が就任し、和平交渉を主導したことで高まったが、その後交渉は停滞している。

 「クレムリンもその考えに一定の期待を寄せていた。それが世論にも織り込まれたのだと思う」とグリーン氏は述べた。「しかし現実にはそうなっていない」

 その結果としての失望と不満は、プーチン氏が「ある程度の代償を払っている」ことを意味する。

◆プーチン体制に差し迫った崩壊はない
 ガレオッティ氏は分析の中で「これらはいずれもプーチン体制の差し迫った終焉を示すものではない」と述べている。

 「有意味な組織的野党は存在せず、プーチン氏の治安機関に対する支配は揺るぎない」と同氏は指摘する。戦時下では「批判者でさえ国の不安定化は望んでいない」という。

 ボルコフ氏も同様の見方を示し、不満は緩やかにしか高まっていないと述べた。支持率は「非常に高い水準から低下しているにすぎない」という。

 「現時点では過小評価も過大評価もすべきではない。まだ始まりに過ぎない」と同氏は語った。

 一方、プーチン氏の元スピーチライターで現在は政治アナリストのアバス・ガリャモフ氏は、著名人が批判を表明することで人々が勇気づけられ、不満は今後も深まる可能性があると指摘する。

 同氏は「政治において力を感じられるかどうかは、自分が共有し支持する立場がどれほど広く浸透しているかに大きく左右される」と言う。

By DASHA LITVINOVA Associated Press

Text by AP