側近もバイデン氏勝利を悲観…撤退説得か 「ハリス候補」調査も 米報道

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 11月のアメリカ大統領選に向け、6月27日に行われたテレビ討論会での失敗により、バイデン大統領に撤退を求める声が強まっている。バイデン氏は、7月11日の会見では言い間違えのミスを犯しつつも何とか乗り切った。本人は選挙戦続行を表明しているが、支持者や民主党関係者のなかには、バイデン撤退を見据えた動きもみられる。

◆衰えは明白 メディアも懸念
 バイデン氏の衰えぶりは、さまざまなところで話題になっている。ワシントンの記者たちはようやく大統領の衰えの話に本格的に取り組むようになり、何年も前に遡って報道するようになった。CNNは、閣僚たちとの会議前には、事前にスタッフが参加者の回答のポイントを大統領に教える、「裏の演出」をするという情報筋の話を報道。ABCニュースは、6月のイベントの出席者が気づいた、大統領の奇妙な振る舞いの話を報じた。
 
 11日に行われた記者会見で、バイデン氏はハリス副大統領を「トランプ副大統領」と言い間違えた。これは、ワシントンで開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、ウクライナのゼレンスキー大統領を「プーチン大統領」と間違えて呼び、会場からどよめきが起こった数時間後のことだ。ロイターは、大統領の能力に関し民主党関係者の疑念が高まるなか、こうした言い間違えは、助けになるものではなかったとしている。

◆失敗のほう良かった… 民主党の本音
 もっとも、米フォートワース・スター・テレグラム紙は、記者会見でのバイデン氏は、ほぼ首尾一貫していたと述べる。大きな失言や迷うような発言もなく、2週間前の討論会での失態まで民主党が気づかないふりをしてきた悪癖の多くを繰り返すこともなかった。

 ところが、民主党関係者が期待していたのは、実はこのような及第点の会見ではなかったと同紙は指摘する。もっとひどい出来であれば、バイデン氏や家族、アドバイザーらに、これ以上は無理だと撤退を求めることも可能だったからだ。

 ウェブ誌『Vox』は、バイデン氏に懐疑的な党関係者と、断固として選挙戦に残ろうとする同氏の間で、民主党は袋小路に陥っていると述べる。フォートワース・スター・テレグラム紙は、民主党に残されたのは、バイデン氏がいつ決定的な失敗を犯すのかと日々気を揉みながら支え続けるか、党内が分裂する危険を冒して強引に撤退させるかの2択だとしている。

◆撤退の求め拡大 各所で動き
 民主党の指導者たちは、バイデン大統領に立候補の取りやめを求めてはいないが、ナンシー・ペロシ前下院議長が出馬再考を示唆したと言われている。大口献金者で俳優のジョージ・クルーニー氏も、降板を求めた。

 長年のアドバイザーの何人かがバイデン氏に撤退するよう説得する方法を検討中とニューヨーク・タイムズ紙が報じ、また、選挙スタッフの何人かがバイデン氏に当選の見込みはないと考えているとNBCニュースが報じている。ロイターによると、バイデン氏に代わりハリス副大統領が正式候補となった場合の検証を陣営が始めたという情報もあり、水面下でバイデン撤退も視野に入れた動きが始まっているようだ。

Text by 山川 真智子