まず、トランプ氏の発言の仕方や内容は極めてクリアで、単純でわかりやすい。難しい言葉を使いがちで、クリアに話せない政治家が多いが、トランプ氏の発言は「アメリカ人の雇用を守る」「中国製品を追い出す」「外国の紛争には加担しない」など理解が簡単で聞きやすい。それが人々の関心を集める要因になっている。

　また、トランプ氏の考えは今日のアメリカ国民の声を強く反映している。トランプ氏は「大統領に返り咲けば24時間以内にウクライナ戦争を終わらせる」「ウクライナ支援を最優先で停止する」「中国からの輸入品に一律60%超の関税を課す」など大胆な発言を続けているが、これらはすべてアメリカ第一主義に基づく発言である。

　今日のアメリカは、世界で圧倒的な軍事力や経済力を持つ以前のようなアメリカとは違う。中国やインドなど多くの国が台頭し、アメリカ一人勝ちの時代はすでに終わっている。アメリカ国民の多くは、アメリカが外国の紛争に関与することに懐疑的で、国内の問題に集中するべきだと思っている。よって、トランプ氏の考え方と今日のアメリカ国民の思いは重なり、それがトランプ支持の原動力となっている。