「トランプ氏出馬不可」のコロラド州最高裁が仕掛けた「罠」とは?

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◆コロラド州最高裁が張った伏線とは
 トランプ陣営がコロラド州最高裁の判断を最高裁に控訴するのは明らかだが、同州最高裁はこの動きを見越して、保守派が過半数を占める連邦最高裁に対するちょっとした「罠」を仕掛けている。

 連邦最高裁の9人の判事のうちの1人、保守派のニール・ゴーサッチ判事はコロラド州の出身で、最高裁判事就任前は、同州デンバーの第10巡回区控訴裁判所で判事を務めていた。ニューズウィークによると、ゴーサッチ判事は当時、帰化したアメリカ市民が同州で大統領選に立候補を希望し裁判を起こした際、「憲法で大統領就任を禁止されている」として投票用紙から削除することが可能である旨の判断を下した。コロラド州最高裁はそのゴーサッチ判事の判断を判決文に引用したのだ。これはこの裁判が全世界からの注目を集めていることを熟知している同州最高裁が、連邦最高裁がトランプ氏支援のために憲法を捻じ曲げた判決を下さないよう、ゴーサッチ判事の過去の判断を利用して伏線を張るという作戦である。

 政府に対する反乱を起こしたトランプ氏に「大統領就任資格がない」という判断は、外国生まれの帰化国民や35歳未満の人、すでに二期大統領を務めた人に就任資格がないのと同様に、合衆国憲法に基づいた判断である。保守傾向の強い連邦最高裁が、今後トランプ氏の大統領選出馬資格について合衆国憲法に基づいた正しい判断を下すか否かに注目が集まっている。

Text by 川島 実佳