英、国際結婚できるのは金持ちだけに? 家族ビザ申請の最低年収、大幅引き上げへ
◆富裕層のみ国際結婚が可能に
国家統計局によると、今年4月のイギリスの常勤従業員の年間総収入の中央値は3万4963ポンドだった。歳入関税庁によれば、年間3万8700ポンド以上の収入を得ているのは人口の27%に過ぎない。
また、家族ビザを申請する際にも、結婚または市民パートナーシップを結んでいること、6ヶ月以内にそうなる予定であること、または少なくとも2年間同棲していることを証明する必要がある。家族ビザの人は、国民保険料負担で発生する傷病手当金などの給付金を除き、イギリスの給付金を請求することはできない。
保守派のコメンテーターや政治家から懸念の声が上がっている。テリーザ・メイ元首相の元参謀長であるバーウェル卿は、「最も裕福な人だけが恋に落ち、誰かと結婚し、そしてその人をイギリスに連れてくることができるというのは道徳的に間違っており、保守的ではない」と述べている。また、コンサバティブ・ホーム誌の副編集長ヘンリー・ヒルは、3万8700ポンドという数字は「非常に多くのイギリス人が外国人と結婚できなくなる可能性がある」と述べている。(ガーディアン紙)
イギリスの社会派非営利メディア「オープンデモクラシー」は、政府は移民諮問委員会による最低収入額の引き下げ勧告を無視し、移民がイギリスにもたらす利益を見過ごしていると、政府を批判する。また、1万8600ポンドから3万8700ポンドに引き上げられる新しい収入基準は、イギリス国籍以外の人との結婚が高所得者にのみ可能になったことを意味すると指摘する者もいる。イギリスを拠点とする移民権利団体「プラクシス」の政策・広報マネージャーであるジョセフィン・ウィタカー・ユルマズは、「なぜ、自分が選んだ相手と恋に落ち、生活を築く権利が、自分の収入によって左右されるのでしょうか」と疑問を投げかける(ユーロニュース、12/12)。
オブザーバー紙は、クレバリー内相の両親(母親がシエラレオネ出身)が「移民規定の適用を受けていたら、別居かイギリスを離れるかの選択を迫られていただろうか? パートナーや両親が海外で生まれたイギリスに住む数百万人の人々の多くが、ここ数日、同じような疑問を自問自答している」と述べている。