米、ゲリマンダー是正で2024年は民主党有利か 選挙区割りで攻防

共和党提案のアラバマ州の連邦下院選の区割り案(7月18日)|Kim Chandler / AP Photo

 これが投票に関する人種差別を禁じた「投票権法」に違反するとして訴えられた結果、連邦地裁、また保守派多数の最高裁でもその訴えが支持された。結果として、アラバマ州議会は黒人人口が比例して代表される選挙区分けを命令されたのである。しかしABCニュースによると、同州議会はその判決を拒絶し、同じようにゲリマンダーされた区割りを提出。その結果区割りをする権利をはく奪され、第三者による公正な区割りが連邦地裁により選ばれる結果となった。

 一方CBSニュースによると、サウスカロライナ州連邦地裁も、同州内で黒人人口が分割され、多数派地域が少なくなるようゲリマンダーが行われているという判断を下した。今後は最高裁で争われる予定だが、すでにアラバマ州の判例があるため、サウスカロライナ州でも同様の結果となることが予測されている。前出のABCニュース記事によると、ほかにもルイジアナ州やフロリダ州、ジョージア州でも同様の裁判が起こっている。

◆ニューヨークでは民主党がゲリマンダー?
 しかしゲリマンダーが問題となったのは共和党州だけではない。NBCニュースによると、ニューヨーク州では2022年、民主党側がゲリマンダーを行ったとして裁判となった。同州は民主党優勢州であり、大統領選、州知事選、ニューヨーク市長選などでもことごとく民主党が勝利を収めている。しかし2022年の裁判で同党がゲリマンダーを行ったという判断が下され、新しい区割りが使われた同年の中間選挙では共和党が大幅に議席を伸ばして26議席中11議席を占め、逆に人口比の不均衡が目立つ結果となった。同州では今年7月、同州連邦地裁により区割りの見直しが命じられ、再び是正が行われる予定だ。

 この結果、南部州のゲリマンダー、そしてニューヨーク州のゲリマンダーが2024年の総選挙前に是正されれば、下院の民主党議席が10議席前後増加する可能性が出てきた。今後トランプ氏の裁判進行や、下院議長席をめぐる共和党の内紛の行方次第では、民主党が下院で過半数を奪回する可能性は十分にあるだろう。

Text by 川島 実佳