トランプ氏起訴へ秒読み? ポルノ女優への不倫口止め料支払い容疑で

Sue Ogrocki / AP Photo

 アメリカでは現在、脱税から婦女暴行、選挙法違反、議会襲撃、そして機密文書持ち出しと隠ぺいに至るまで、さまざまな容疑でドナルド・トランプ前大統領に関する捜査が行われている。米大統領は在任中の免責特権を持っており、大統領退任後に捜査が本格化すると思われた。退任後2年2ヶ月が経過した今、まだ訴追はされていないものの、時間の問題だと思われている。

 そのトランプ氏訴追は、同氏が20年大統領選で僅差で敗れたジョージア州のラフェンスパーガー州務長官に直接電話し、票数改ざんを要求した際の選挙法違反容疑に関するものが一番乗りだと思われていた。しかしここに来て一時は忘れられていた容疑でトランプ氏が訴追されることが確実視されている。それは16年大統領選中に、トランプ氏が不倫関係にあったとされるポルノ女優に対し、口止め料として13万ドルを支払ったという選挙資金法違反の容疑である。

◆元弁護士はすでに有罪
 その支払い対象となったのは、すでにトランプ氏と関係を結んだことがあるとカミングアウトしたポルノ女優のストーミー・ダニエルズさんだ。ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、2人は2006年にゴルフトーナメントで出会って関係を持ったという。それが表沙汰になることを恐れたためか、トランプ氏は当時、側近で専属弁護士でもあったマイケル・コーエン氏に命じて16年大統領選の前日にダニエルズさんに13万ドルを支払ったという容疑がかけられている。

 コーエン氏は罪状を認めトランプ氏在任中に有罪判決を受け、収監されて刑期を終えており、今では反トランプのコメンテーターや著者、ポッドキャスターとして注目を集めている。コーエン氏は事件当時「フィクサー」と呼ばれ、トランプ氏に忠実な側近だったが、その後事実が発覚してトランプ氏に裏切られたことから、現在は証人としてトランプ氏の有罪立証に尽力しているという。

 NYTによると、ニューヨーク市マンハッタン地区検察のアルビン・ブラッグ検事は、同件でトランプ氏を訴追する準備を整えていることをほのめかしており、逮捕は時間の問題と言われている。

Text by 川島 実佳