海外が報じる、自民党と統一教会の関係 安倍氏暗殺事件から思わぬ展開へ

Hiro Komae / AP Photo

◆日本の保守と関係構築 信頼獲得に有名人も活用
 統一教会と日本の保守政治家との関係は数十年前にさかのぼるとされ、1999年に日本のメディアが教会とその反共運動と関係があるとされる128人の政治家のリストを発表している。ソウルのキリスト教系新聞によれば、1970年に安倍元首相の祖父、岸信介氏が統一教会を訪れ、文氏の要請で作られた反共主義政治団体「国際勝共連合」との関係を築き始めたという。韓国で異端のキリスト教を研究するパク・ヒュンタク牧師は、反共主義を接着剤とし、文氏は当時の韓国の権威主義的支配者と日本の与党自民党の政治家との関係を構築したとしている。(SCMP)

 NBCは、統一教会のような団体が持つ影響力の大きさから、安倍元首相のような保守的な政治家が関係を深め、そのイベントに出演することも珍しくないと指摘する。安倍首相は文氏とその妻が設立した団体主催のイベントにビデオメッセージを送っていた。このイベントではアメリカのトランプ前大統領も演説を行っていたが、統一教会とその関連団体は多額の金を積んで世界の政治指導者、有名人などを講演に招いてきた。著名人と関連付けることで信頼を勝ち得るという長年のやり方だとWPは指摘している。

◆政治への支援絶大 安倍首相銃撃で宗教の役割が明らかに
 世界平和統一家庭連合は自民党への献金を否定しているが、神田外語大学の民族主義活動の専門家ジェフリー・J・ホール氏は、投票日に必ず来て自分の党に投票し、選挙運動のボランティアまで提供してくれる宗教団体は非常に大事だとし、金銭以外のつながりにも目を向けている。(フィナンシャル・タイムズ紙

 SCMPは、安倍元首相が暗殺されたことで統一教会と日本の保守政治家との結びつきが明るみになったと述べる。WPも、日本では長い間論争になってきた統一教会の役割が再び精査されることになったとしており、触れてはならなかった政治と宗教というパンドラの箱が、予期せぬ形で開いてしまったようだ。

【関連記事】
欧米で自作銃「ゴーストガン」の犯罪増加 抜け穴多く取り締まり困難
安倍外交を振り返る 国際秩序の変化のなか日本の存在感示す
「アメリカは日本の軍隊合憲化を支援すべき」米紙が報じる

Text by 山川 真智子